第85話あわましお泊りコラボ6

「なにやってるのあわちゃん? 早くお風呂入ろ」

「え、いや、だからお先に……」

「一緒に入ろ?」


当たり前のようにそう言ってくるましろんにリアクションすらうまくとれないまま唖然としてしまう。

え? これって言葉通りの意味だよね? なんかの隠語とかじゃないよね?

だとしたら……一体何が起こっているんだ!?


「まさかましろん酔ってる? でも今日の料理にはストゼロは入れなかったはず。だとしたら……聖様が放つ毒電波でも受信したのか?」

「聖様に謝りなさい。というか忘れたの? 最初に一緒に入ろうって誘ったのあわちゃんなのに」

「え?」


どういうことだ、そんなの記憶にないぞ。まさか海馬聖様のエネミーコントローラーの仕業か?

ぶっかけフェイスホワイトドラゴン! 滅びのカルピストリーム!!

……なんでもない。


「ほら、前にマ〇カ配信したときに銭湯で裸の付き合いを所望するって言ってたじゃん」


シュワの時の話かよ!!

ああ、でも確かにそうだ。断られる前提で言ったけどまさかの「あわちゃんとならOK」という返事が返ってきていたはず。

でもまさかここで伏線回収になるとは思わんかった!!


「で、でも家銭湯じゃないですよ?」

「んー、まぁそうだけど似たようなものだからいいでしょ」

「そんな適当な……」

「むー、僕の風呂が入れないというのかぁ!」

「いや入るのは私のお風呂なんですが」

「あははっ、確かにそうだ。でも一緒に入りたいのは本当だよ。あわちゃんは嫌?」

「いや、びっくりしただけで嫌ではないですよ。でも……襲われても知りませんよ?」

「大丈夫、長い付き合いの上であわちゃんに信頼があるからね」


なぜそこまで自信たっぷりにそんなこと言えるのだろうか? 私の記憶では事あるごとにセクハラ言動を連発したはずなのだが……

まぁでもましろんが一緒に入りたいって言うのならいっか。どうせ修学旅行みたいなノリだろうしね。やましいことなどまさかないない。

うっ……でも体型見られるのちょっと恥ずかしいかも……最近運動できてなかったからもしかすると……そうだ!


「それじゃあ一応バスタオルをお互い体に巻いてください、体洗う時も見ない。それならどんとこいです!」

「え~……まぁいっか、おっけ! さっそく行こうか。てなわけで配信音声ミュートしまーす。少し待っててね」


コメント

:あ~たまらないですわ~

:神回 ¥20000

:僕はね、お風呂のバスタブになりたかったんだ

:そうか……なら、俺が代わりになってやるよ、任せろって!

:いいや譲らん! 絶対に譲らんぞおお!!

:あれー?




「ふ~、いやぁお風呂はいいねぇ。力が抜けて身体が溶けそうだよ」

「そ、そうですね」


私は緊張で体ガチガチなんですがー!!

現在、お互い髪と体を洗い終わり、本当に二人湯船に浸かっております。

少し狭めのバスタブだからさっきから肩とか普通にくっついてます。

バスタオルを巻いているとはいえましろんの方を向くとセクシーな鎖骨が――

これは直視できない……


「あわちゃんってさ、結構あるよね」

「な、なにがです?」

「バストだよ。素晴らしいものをお持ちのようだ」

「あ、ああなるほど。そうでもない気がしますが……」


相変わらず視線はお湯に向かい下げた状態で応える。


「いや、僕と比べるとやっぱり大きいよ。マ〇カコラボの時ツルペタって言われたの忘れてないぞー」

「いやでも、それはアバターのましろんに対して言いましたから」

「じゃあリアルの僕の胸は大きいの?」

「……はい」

「あー嘘ついたー! さっきから視線外してるくせになんで分かるのかなー?」

「ち、ちらっと見えたからですよ! あ、見えたって言ってもタオルの上からですよ!」

「ほんとー? ん~……やっぱり納得できないなー。ほら、今しっかり僕の胸見て判断してよ」

「え、ええ!?」

「はやくはやく!」


ううむ、これはやらなければ納得してもらえそうにないな……正直サイズが分かるくらいまでは見てなかったしね。

まぁバスタオルの上からだし問題ないか、そう思い視線をましろんに向けたのだが――


「え?」

「にひひっ」


本来ならタオルで隠されているべき場所――そこには間違いなく人の柔肌で出来た控えめな膨らみが横に二つ並んでいた。

その代わりにタオルはましろんのお腹付近まで下げられており、更にましろんはまた悪戯っぽく笑っている……これはつまり……

!?!?!?!?


「キャアアアァァ!! ましろんのエッチ! 破廉恥! 聖様ーー!!」

「だから聖様に謝りなさい」


そんなに長風呂でもないのにのぼせてしまいそうな時間でした……

それにしても今日のましろんは一際テンションが高いな、一体どうしたのだろう?

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