11話 トラップ
人間用の道を選択し、真っ直ぐな道を進んでいると、幅10メートル程ある落とし穴が出てきた。
「これは確かに人間の素の身体能力じゃ無理だな…こっちで正解だったか?」
「早く飛んで次行こうぜ」
スライムの跳躍力は半端じゃない。助走なしで6mある壁を軽々超える。
「スラスケ、リズの姿で飛ぶのか?」
「おう」
「飛べるのか?」
「飛べる」
少し助走を取り、勢いをつけて思いっきりジャンプする。テレビで見たことあるのではないだろうか、飛んだ気になっている犬を。あんな感じで真下に落ちた。
「スラスケぇぇえええええええ!!!」
「嘘…だろ。」
間一髪、触手を伸ばしてスラスケの胴体を捕らえることに成功した。まぁ落ちて剣山があったり落下衝撃で死ぬってこともないから別に大丈夫なんだろうけど、反射で出てしまった
「………大丈夫か?」
「嘘……だろ……俺が………飛べない?」
「飛べないもんは飛べないんだ諦めろ」
スラスケを引き上げる。
「はぁ、かっこよく飛びたかったのによ」
そういうとスラスケが転写を解き、そしてそのままぴょんっとはねて10メートル先の向こう岸に着地した。
「じゃあ僕も行くから」
飛んで着地。こんなものはなんでもない。スライムは想定してなかったのかな?まぁ、確かに最弱スライムを想定するとか予算の無駄でしかないもんな……てか、ここ人間用の罠だったわ。
「よし、次行こう!」
リズを転写し直し、触手を伸ばしながらさらに進んでいく。石を組み合わせた造りが延々と続く薄暗い道。それは緩やかな傾斜になっており、不自然な位置に松明が置かれている。
「なんか坂になってねーか?」
「だな」
この傾斜に幅3メートル程の狭い通路。あもいあたる仕掛けは――
――ゴゴゴゴゴゴ
ビンゴ! 直径がぴったり壁に収まる程の岩が転がってきた。後ろの穴はこれを回収するためのついでだったのかな? なんというリサイクル精神。恐れ入る。いや、警備が1人もいない事と、先ほどの看板もそうだが、城にお金がない説が濃厚かもしれない。まだその辺は判断できないけどそれなら楽に奪還できるかもしれないなとも思った。
「スラオ、どうすんだよ?! 潰されるぞ?!」
「潰れても大丈夫だろ? 潰れたくないなら、端のほうに行ってその隙間でやり過ごせばいいよ」
「そうだな」
僕とスラスケが左右に分かれる。隙間に入り普通にやり過ごした。
「なんか普通だなー命に危険を感じないというか」
「まあ、流石にスライムを想定した罠はないと思うよ。」
わざわざ経験値にも金にもならない、そんな魔物のために金を使う冒険者など聞いたこともない。あ……居たわ。そう言えばどっかの輩がスライム倒してレベルマックス目指す!なんて縛りをしていたけど無事にやり遂げたのだろうか。
「そうなのか?」
「本当にこの罠が人間用ならほとんど問題ないと思うな魔法が来ない以外」
「リズはなんか言ってないのか?」
「なんですか?」
「すげえ! 中から喋れんのか!?」
「はい!」
おそらくリズのチートスキルのおかげだろう…。
「吸収されるってどんな感じなんだ?」
「えーそうですね…不思議な感覚です!」
「なるほど」
それで納得できるスラスケもスラスケだろ…
「引き続き警戒しながら行こう!」
「だな!」
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