10話 あからさま!
なんだこれ…。
3匹がナビを頼りに進んでいくと、目の前には『人間用』と『魔物用』と書かれた看板と、その分かれ道が現れた。
…なんだこれ。罠なのか? 人間には読めても魔物には読めないだろ…。これ明らかに人間か魔王レベルの魔物に対しての看板で、僕たちを想定したものでは無いな…。いや、僕たちもステータス的には充分魔王と呼ばれてもいい頃合いだけど。
「なんか変な看板がありますね。ナビはどっちでもいいって言ってます。」
「どっちに行くんだ?」
ナビってそんな感じなのか…。ていうか、使用主が別にどんなものかわかってなくても使えるんだな……。
「んー、迷う所ではある。」
「この文字読めるか?」
「あぁ、読める。人間用と魔物用って書いてるな」
「なんで読めるんだ? まぁいいか長生きしてるって言ってたしな」
大雑把で助かる。というか、どっちに行くか迷うところだな…なんせ相手は頭のキレるやつで間違いない気がする。普通こんなあからさまな看板置かないだろ。絶対何かあるわ。それに警備を1人も置いてないってことは間抜けか、パレードに全て回してるか、自分のトラップに相当自信があるかのどれかだ。
「どっちに行こう…」
「人間用でよくないか?」
「私はどっちでも大丈夫です」
「人間用か…本当に人間用ならおそらく僕達なら抜けられると思うけど…」
「なら行こうぜ!」
「じゃあ、人間用で行こうか!」
正直この選択に自信が無い。今関係ないけどスライムって物理攻撃効かなくね? 自由に体変えれるし、硬い部分がないから衝撃とかにも耐えられるし…なんで序盤のやつって死ぬんだ? 分からなくなってきた。ボア狩りの時も落ちてきて潰されたけどダメージは入ってなかったし。どんな攻撃が効くんだろ。
「行くんじゃないのか?」
「ああ、行こう!」
「どんな罠があっても大丈夫ですよ!」
いや、そう言いたいのは山々だけど…
「僕達は大丈夫かも知らないけど、リズが危なくなるかもしれない」
「あぁたしかにな身体伸びたり縮んだりできないもんな」
珍しく正解している。
「スラスケの言う通りだ。僕達は潰されたりしても平気だけど、リズはそうはいかないから……その……言いにくいんだけど……一旦吸収されてくれないかな…」
本当はしたくないけど仕方ない。だってリズは犬だもん。潰されたら死ぬでしょ。しかも、檻もリズの攻撃で破れないほど固かったし。もしそんなやつでリズが挟まれでもしたら大惨事だ。
「え…と。はい。分かりました。」
「ごめんね…中から念話飛ばしてよ」
「はい。」
そしてリズの体を覆う。これは別にスラスケに吸収させてもいいのだが、緊急を要する場合に伝えてから出すのと思考してから出すのでは全然速さが違う。そんな理由もあるのだ。
リズを吸収し終わり先を目指す…
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