第19話 おいっ! 責任者!

 リズにドラゴンを倒してもらい、楽してレベルMAXになった2匹は、今までと違う進化を遂げ、穴の外で話していた。


「変わってないってどゆこと?」


「そのまんまの意味だぞ」


「確認したいけど……なんか反射するものないかな」


「ないな」


 あ……っリズの目……で行けるかな? スラスケでやれれば早くて楽なんだけど、何故かスライムの身体って反射しないんだよな……


 ちょうどドラゴンを仕留めたリズが帰ってきている頃だった。


「リズ……おま、じゃなくて、リズ凄いんだな。」


 絶対こいつ『お前凄いんだな』って言いかけたぞ……。てか、よそよそしすぎだろ。


「そんなことありませんよ。」


 謙遜している。いい子だなー。


「あのさ、リズ。ちょっと悪いんだけどこっち見ててくれない?」


「え……? 急になんですか!?」


 僕も思春期なんだよ……バリバリの男の子なんだよ……。そんな僕が勇気振り絞って言ったのに……そんなに驚かれると傷つくんだけど……。


「キモ」


「キモイ言うな。僕だって自分の姿見たいんだよ。」


「わ、分かりました。早くしてくださいね。」


 リズに少し近づく。


 うわぁー。マジでなんも見た目変わってないじゃん。どゆこと?


「ごめん、ありがとう」


「いえいえ、大丈夫です!」


「リズはさ、なんでそんなに強いんだ? さっきの魔法? もやばかったし」


「え……と。なんでですかね? なんかわかんないんですけど、ドラゴン倒せる位の強い魔法! って思いながらスキル使ったらあれが出てきました。」


 え……そうなの? 『テオス』ってそういう感じなの? ……強スキルって次元じゃないでしょ? チートじゃん。そんなもん勝てんわ。冒険者時代瞬殺された理由がわかったわ。このスキルのせいだ。俺があったのは別の獣神だったけど絶対そいつもこれ持ってるわ。絶対そう。ゲーム作ったやつ誰だよ。ふざけんな。詐欺だよ詐欺。どんだけ金費やしたと思ってんだ! 責任者出てこい!


 はぁ……まぁいいや。


 てか、ステータス確認したいけど、大丈夫かな。もし、獣神ってことバレたくなくて隠してるならステータス閲覧できることバレたら何されるかわかんないけど……。いや、リスクが高いからやめておこう。とりあえず自分のステータスだけ確認しとこ。



 種族『THEスライム』

 Lv1 ♂ スラオ


 進化まで後Lv59


 HP: 732 MP: 531


 攻撃力: 489

 守備力: 528

 素早さ: 361

 魔法耐性: 267


 特技 転写


 スキル 毒霧 硬化 撃進 鞭打ち トゲ


 個体特性 無し


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型・進化者・変態・卑怯者・人の道を歩む者



 強くなってるけど……おいおい。『THEスライム』ってなんだよ。適当すぎじゃね? 進化したんだよね? しかも不名誉な称号貰ってるんだが。『卑怯者』ってなんだよ。レベル上げにリズ使ってること言ってんのか!? てか今更なんだけどなんで僕だけ称号枠があるんだよ……スラスケとリズにもあって良くね? スラスケに『大馬鹿者』って称号つけて良くね? はぁ、まぁいいか。


 スラスケの大雑把さがどんどん移っているスラオ。


「これからどうしますか?」


「もうそろそろ魔王行けるんじゃないか? スラオ」


「ああ、俺とスラスケ2人なら勝てるステータスにはなった」


「私は……?」


「聞くまでもないだろ。魔王は俺とスラオでやるからリズは見学だぞ」


「なんでだよスラスケ」


「俺たちで強くなるって決めて里出たんだから、魔王倒すのに他のやつの手借りるのはダメだろ」


 珍しくまともなこと言ってるような雰囲気で言ってるけど、めちゃくちゃ矛盾してるからな……スラスケ。もう既にリズにバリバリ手借りてるよ……。誰のおかげでここまでレベル上がったと思ってんだ……。ま、いいか。


「そうだね、魔王は僕達2人で倒したいな。リズは手を出さずに見ててくれるか?」


「わかりました……てっきり私が何か気に触るようなことしたのかと。」


「そんなわけないじゃないか。リズには本当に助けられてるよ」


「そうだぞ!」


 スラスケお前違和感半端ないんだが。つい先程までお前だのなんだの言ってただろ。手のひら返しがすごいな。

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