第30話

「さくらは?」


「え?」

とぼけようとしてんなぁ。


「俺のこといつ好きになったんだよ」


「あ〜、気づかれたー」


「俺、そんな忘れっぽくないぞ」


「えへへ、ごめんごめん! えっとね〜」

さくらが俺のこと好きだったなんて気づかなかったけど、最近だろうなー。


「私はいつ好きになったのか、わかんないんだけどね。好きだーって気づいたのは高校生になってからかな」


「え、まじ? 最近なのかと思ってたわ」


「えへへ、私もバレてなかったんだね」

全然気づかなかったなー。


「たぶん小学生の時とか、中学生の時も好きだったんだろうけど…。ふーくんが側にいるのが当たり前になっちゃってて…」

おぉ、照れてる照れてる。


「気づいたのはね、高校生になって…ふーくんがモテモテになって」

自慢だが、俺はモテる。モテ期が高校時代なんだろうな。


「えっと…ふーくんにも彼女かぁって思ったら…」


「思ったら?」


「…いやだなぁって思って」

かわいいー!!!


「その…それで好きなんだってわかって…」


「さくらも嫉妬したのか〜」


「…うん、そうだね〜。一緒だ〜」


「かわいい」


「え?」

あ、やばい。声に出てしまった。


「あ、えっと…」


「ふーくんがかわいいって言ってくれた〜!!」


「…別にいつもかわいいと、思ってますけど?」


「ふぇ!?」

おぉ、めっちゃいいリアクション!!


「さくらはかわいいよ」


「嬉しい…けど、照れるー!! ふーくんだってかっこいいもん!」


「え…」

さくらが…さくらが俺のことかっこいいって言った!


「まじ?」


「なんか嬉しそう」


「嬉しいに決まってんじゃん」


「いっつもいろんな人に言われてるくせに!」


「さくらだから。大好きな彼女に言われるから嬉しいんだろ?」


「…そっか〜、えへへ。ありがと〜!」


素直に気持ちを伝えるのはめっちゃ恥ずかしいけど、嬉しそうなさくらが見られるならもっと伝えていかないとな。

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