第19話 学校に行こう。

 ……いてて。


 腕の痛みで目が覚めた。寝ている美希さんの頭が俺の二の腕に乗っている。


 あ〜。昨日腕枕したまま寝たなぁ。いてっ。


 少し動かすだけでピリッと腕に電気が走る。やべぇ動かせない。痺れはないけど……。


 美希さんはスヤスヤと寝ている。寝顔がめっちゃ可愛い。ところで……今何時だ? カーテンは閉まっている。カーテンの隙間から外の光は入っていない。朝ではないみたいだ。夜中か?


 ……やばいなぁ、俺と美希さん……パジャマ着てねぇ。起こすか。


「美希さん美希さん」


「……ん」


 頬をツンツンしながら小声で美希さんを起こす。ゆっくりと美希さんは目を開けた。


「……おあよ〜。もう朝なの〜」


「いや、時間を見てないから分からない。確認で起きてもいいかな?」


「だめぇ〜」


 ギュッと抱きつかれた。ちょ、まって。今やばいって。


「——あっ」


「ごめん……」


俺の下腹部をジッと見る美希さん。


「えへへ。えっち。もう一回するの?」


「い、いや。と、とにかく起きよう」


「うん。そうだね。起きないとやばいよね」


 小さな声で話す美希さんは上半身を起こした。俺も起き上がり部屋の時計を見た。


「四時か……」


「朝だね〜。私、部屋に戻るね。昨日は一緒に寝てくれてありがと。ちゅ」


 頬にキスされた。美希さんはベットからおりパジャマを着て俺に微笑み、音を立てず静かに部屋を出ていった。


 ……さて、俺もパジャマを着てもう一眠りするかな……。


 ◇◆◇


 ——ピピピピ。


 目覚ましが鳴った。アラームを止め起きる。さて起きるか。


 制服に着替えてトイレなどを済ませ台所に行くと、美希さんが朝ご飯を作っていた。


「あっ、一護君おはよ〜」


「おはよ」


「もうすぐご飯できるよ〜」


 学校の制服にエプロン姿の美希さん。俺は彼女に近づく。


「ん? どうしたの?」


 近づいた俺を美希さんは不思議そうに見ている。


「——きゃう。だ、だめだよ〜。お母様が来たら見られちゃうよ〜」


「ごめん。少しだけ」


 美希さんが可愛すぎた。俺は我慢できずに抱きしめた。


 かあちゃんはまだ寝ているだろう。やばいな、美希さんが愛おしい。


「ありがと。美希さん大好きだよ」


 ずっと抱きしめていたいけど……離れるか。


「嬉しい。私も大好き。じゃあ朝ご飯用意するね。お母様起こしてきてね」


 俺が離れるとテキパキと朝ご飯を用意する美希さん。かあちゃんを起こしに部屋に行くと……やっぱり寝ていた。


 かあちゃんを起こして三人で朝ご飯を食べた。食べ終えると俺と美希さんで後片付けをした。


 学校に行くにはまだ早い。畳の部屋でテレビを見ながら三人で雑談。


「あっ、そうだ。今月の連休は三人で一泊の温泉に行きましょう」


 雑談がひと段落して学校に行こうとした時に、かあちゃんが唐突に言った。


「温泉? まぁいいけど」


 美希さんを見ると嬉しそうにしている。


「美希さんはいいの?」


「うん。行きたい。温泉行ったことないから」


「じゃあ決まりね。もう予約してあるのよね〜」


 おいおいかあちゃん、事後報告かよ。まぁいいけど。


 ご満悦なかあちゃんは仕事場に、俺たちは学校に行くので畳の部屋を出た。


◇◆◇


 家を出ると外は快晴。気持ちがいい。今日も学校に行きますか。


「温泉楽しみだね」


 美希さんはホントに嬉しそうだ。ふむ、ナイスだ、かあちゃん。


「おっはよ〜」


 タイミングよく凛子さんが自分の家から出てきた。


「凛子ちゃんおはよ〜」


「ん? なんだかご機嫌だね」


「うん。今月の連休に温泉に行くんだ〜」


「な、なぬっ! 二人で旅行なの⁉︎」


 凛子ちゃんは驚きながらお馬鹿な事を言っている。


「いや、かあちゃんもだ。三人で行くんだよ」


「だよね〜。高校生二人旅はないよね〜。ビックリしたぁ。あっ、お土産よろしく〜」


「うん。分かった〜」


 凛子さんも加わり三人で登校。美希さんと凛子さんが前で俺は二人の後で一人で歩いている。


 美希さん楽しそうだな。笑顔が素敵だ。って、やべぇ、美希さんをめっちゃ好きになってる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る