第6話 美少女メイド爆誕?
ふぃぃぃ。さてどうするか。かあちゃん達に弁当も届けないといけないし……。
「美希さん、あっついねぇ」
「そうだね」
美希さんは汗だくだ。シャツスケスケは大袈裟だけど、制服のシャツがかなり濡れてるよ。
「よかったら俺の家に涼みにこない?」
隣に座っている美希さんは俺を見た。
「私を連れ込んで何するつもり?」
「はい?」
何するつもり? はて?
美希さんは荷物を掴み立ち上がった。
「エッチ、スケベ、変態」
そう言って美希さんは走って行った。えぇぇ……。もしかして俺がそういう目的で誘ったって思ったの?
くっ。軽率すぎた。もっと慎重に話を進めるべきだった。……ん? 美希さんが戻ってきた。
座っている俺の目の前に美希さん到着。
「……あの……えっと……、一護の家に涼みに行ってもいい?」
「え! あ、はい、どうぞどうぞ」
今日は暑いからね。熱中症を心配したのかな?
「か、勘違いしないでよね。何もしちゃダメだからね。約束できるなら行ってもいいんだからね」
うわぁ〜。めんどくせぇ〜。
「何もしないから安心して。俺の家はかあちゃんが毎日いるから大丈夫。美容師で自宅兼店舗だからね」
「嘘だったら逃げるから」
「はいはい。じゃあついて来て」
そして家まで一緒に歩いた。
◇◆◇
「ここが家です」
店は正面、住まいは後ろ。大きなガラス窓から中が見える。忙しそうだ。
かあちゃんが俺に気づいた。隣にいる美希さんに視線を移す。ニヤニヤ顔になった。勘違いしてるね。
お辞儀をする美希さん。とりあえず住まいの方へ案内した。
テレビなどがあるメインで使っている畳の部屋に案内した。エアコンが効いて涼しい。美希さんは緊張しているのか立ったまま座ろうとしない。
そしてすぐにかあちゃん登場。
「やぁやぁ。一護のママの香澄ちゃんで〜す。はじめまして彼女さん」
「かあちゃん……彼女じゃないです」
「えっ。違うの? じゃあセフ——」
「うおぉぉい! だまれぇぇぇ!」
「冗談だって。なに本気になってんの?」
「ぐぬぬ」
美希さんはキョトンとしている。うう、ゴメンナサイ。うちのかあちゃんはおバカさんなんです。
かあちゃんは『アハハ』と笑いながら弁当を店に持っていった。そしてすぐに戻って来た。
「とりあえず事情を聞きましょうか? ご飯食べながらでいいかな?」
かあちゃんはバッグを持って学校の夏服汗だく姿の美希さんを見て察したようだ。俺も冷蔵庫から菓子パンを持ってきた。弁当は美希さんにあげたからね。
三人でテーブルを囲み座った。美希さんにはカップアイスと麦茶。
俺が美希さんを連れてきた経緯を説明をした。
「そう。大変だったのね」
美希さんはアイスや麦茶に手をつけていない。
「でもね美希ちゃん。一護の話はホントなの? 家出じゃないの?」
「かあちゃん!」
「一護、あなたは黙ってなさい。大切なことだから美希ちゃん本人の口から聞かないとダメなの」
美希さんは自分のバッグを開け二つの位牌を机に置いた。
「パパとママです……」
かあちゃんは位牌に手を合わせた。俺もつられて手を合わせた。
「本当なのね……。親戚にも会ったことないんだよね?」
「はい……」
「分かった。美希ちゃん。あなたうちの子になりなさい」
「「えっ⁉︎」」
突然のかあちゃんのお言葉。俺と美希さんは同時に驚いた。
「え? なに驚いてるの? 話の流れで美希ちゃんはうちの子になる。でしょ? これだからお子様は困るなぁ」
かあちゃんの思考回路がよく分からない。
「私そんなつもりで来たんじゃ……」
「え? 美希ちゃんうちの子になるのが嫌なの? う〜ん。あ、そっか。うんうん。うちの子になるのはまずいよねぇ。
じゃあ住み込みメイドさんで手をうたない? 三食お昼寝付きで。お給料も出しちゃう」
おいおい。かあちゃん何を言ってるの? そんなの美希さん受けるわけがないでしょ。
「えっと、私……」
「住み込みメイド募集締め切りまであと五秒。四、三——」
「はっ、はい。住み込みメイドになります。よろしくお願いします」
頭を下げる美希さん。おいおいマジかっ。
「じゃあ決まりね。よかったぁ。家のこと何も出来なかったのよね。助かるわぁ。じゃ、私はお店に戻るから、早速だけど弁当のゴミ捨てといてね」
『これで楽できるぅぅ』と言いながら店に戻るかあちゃん。
「あっ、美希ちゃん、シャワー浴びたら? 気持ちいいわよぉ〜」
と部屋を出る直前にかあちゃんは言った。そして部屋を出て行った。
もう何がなんだか分からない。ま、まぁ、とりあえずひと段落でいいのかな?
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