第22話 魔界大戦 ラヴィ視点

私はラヴィ=キラー、見習い女神です!

先日、源さんと一緒にダンジョンをクリアし、神界へ向かうと決まったところから記憶がありません。


女神はほとんど死ぬことが無いため、絶対記憶を持っています。なのに記憶が無いのは何故でしょうか?


すると、神界で上級神の一人が最高神様に謀反を企てたらしい事が分かりました。最高神様は全ての次元を管理なさっている最強の神様です。上級神の中で一番強い神様が最高神の位を得ます。しかし、最高神様と似たような実力だった上級神が最高神様の不意を突いて戦いを挑み、消滅させてしまったそうです。


そこから戦争が始まりました。最高神様を倒した上級神につく陣営と、メィル様が率いる陣営です。私は当然メィル様が率いる陣営の方に入りました。しかし、ヴェリーヌ様は敵側にまわっています……。むしろ、手引きをしたのがヴェリーヌ様ではないかと言われています。


戦争は、ある一つの次元で行われました。もともとは精霊などの肉体を持たない者たちが住んでいる世界でしたが、戦争の被害によってどんどんと荒廃した世界になっていきました。


私も見習いですが女神の一員として頑張っています。敵側は、女神だけでなく、モンスターなども生み出したようで、私はそのモンスター達を倒しています。私では女神ランクは倒せませんからね!


それから長い年月が経ちました。世界は岩と砂だけとなり、生き物と呼べるものは住めない世界となってしまいました。今後は魔界と呼ばれることになるそうです。私は長い戦いの中で、功績を認められ、女神ランクⅤになりました。念願の女神昇神ですが、戦争で減った女神の穴埋めの意味もあるようなので、素直に喜べません。


長い戦争の中で、スキルを得る神が増えてきました。自己回復や蘇生等のスキルが使用され、戦闘は膠着状態に入りました。私も女神ランクⅣになり、相手の女神とも戦えるくらいになってきました。


魔界の一角で雑魚モンスターを倒していると、蛇の髪をした女性が現れました。


メ「お前、女神か? 私はメデューサ、ベルゼブブ様のシモベだ!」


私も名乗らないといけないですかね? 正直、相手をしたくないのですが……。


ラ「わ、私はラヴィよ。これでも女神ランクⅣなんだから!」


相手が雑魚モンスターならこれで引いてくれるといいのですが。私、蛇が嫌いなんですよ……。


メ「女神ランク? なんだそれは? どうでもいいか。私の功績となって消えろ!」


メデューサは私に攻撃してきますが、正直大したことありませんね? ただ、何かスキルを持っているかもしれないので一応警戒だけはしておきます。


メ「なかなかやるな。これならどうだ? 石化!」


メデューサの目が光りました。すると、光が当たった私の服がみるみる石化していきます。


ラ「わっ、ちょっと!」


私は慌てて服を脱ぐと、服は石になってパリンと割れてしましました。


メ「運のいいやつだな。もう一度だ、石……」

ラ「させません!」


私は瞬歩という一瞬で距離を詰めるスキルを使い、メデューサの目の前に行きました。そして、そのまま蹴りをメデューサの腹部に打ち込みます。


メ「ぐふっ!」

ラ「やぁ!」


私はさらに追い打ちとして、ダメージを継続して与えられるスキルを使いました。


メ「て、転移!」


メデューサは不利を悟って逃げた様です。しかし、継続ダメージで倒せるでしょう。ただ、消滅させられなかった事が心残りですが。


それからしばらくして、膠着状態の戦争に動きがありました。メィル様がなんと、倒した相手を封印できる結界を生み出したのです。これは敵味方問わずではありますが、封印状態にし、放っておけば勝手に復活する者たちも、蘇生等が無いと復活できなくなるそうです。結界はこの次元全体にかかっている上、メィル様が死なない限り継続するそうです。これによってどんどん敵側の神も減っていきました。そして、私達メィル様陣営は、敵の上級神を追い詰めることに成功しました。


メィル様は、見たことも無いような様々なスキルで敵を追い詰めていきますが、相手も上級神なので簡単には倒せません。相手の上級神は、不利を悟ると、あたりを見渡し、私を見てニヤリとしました。


メ「ラヴィ、危ない!」


私の目には見えませんでしたが、敵の上級神は私に特大の魔法で攻撃したらしく、メィル様がまともに受けてしまいました。


ラ「大丈夫ですか!?」

メ「ち、力が……。こうなったら、最後の手段を行う! 離れろ!」


メィル様は、未知のスキルを使って敵の上級神の力を自らの体に封印し、中級神程度のステータスまで弱まらせました。そして、上級神であるはじまる様がとどめを刺しました。敵のコアは邪神として結界を張って魔界の地に封印されました。戦争は終わったのです。


しかし、この次元に異常が発生しました。メィル様の結界が、相手の力を吸収封印した事によって異変を起こしたみたいです。このままでは、せっかく封印した邪神だけでなく、今まで倒した敵の女神や男神たちも復活してしまいます。


メ「私の最後の力を使って結界の固定化を行う。ただし、この力を使うと私に関する記憶はすべて失われてしまうだろう。」

ラ「そんな!? メィル様の事を忘れるなんて……私は絶対に忘れませんよ!」

メ「ふっ、あとは頼んだぞ。」


メィル様の体から光が溢れ、世界全体を包みました。


ラ「あれ? 私達、何してましたっけ?」

は「邪神を倒したはずだ。うーむ、記憶がはっきりせんな。」

メ「はれ? ここどこですか?」


私の前には、小さな天使が居ます。こんなところで何をしているのでしょうか?


ラ「あなた、名前は?」

メ「記憶が……あ、思い出しました! メィル=ルシフィルと言います!」

ラ「じゃあ、メィル、ここは危ないからついてきなさい。」

メ「はい!」


ここで会ったのも何かの縁でしょう。私はメィルを見習い女神にすべく、女神予備軍として鍛えていくことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る