【オンライン】368話:意外と身近に居る知り合い




「スノー、しばらくヴォルマインの方には近付くなよ」


〈どうしたの急に? 今の所はヴォルマインに用事なんてないけどさ〉


 ズィミウルギアにログインしてすぐティフォが近付いて、ガッシリと肩を掴まれながら言うが、僕にはいきなりすぎて良く解らない。


「うっかり腐れ縁の悪友にティフォナ妃が洩らしたのでござるよ。亡くなった親友が助けた子だと。スノーは本当に親友にそっくりでござるからなぁ。ヤツにバレたとなると、今後は危険が増すんだな。しっかりと周りの者達に守って貰うでござるよ。無論、拙者も全力でお守りするので、その辺は安心して欲しいんだな」


 悪友っていうと、何時も一緒に遊んでいった最後の一人だ。

 二人ともが真剣に見つめてくるから、ちょっとドキッとしてしまった。


「まぁ女の子に手を上げる様なヤツではないでござるが、基本的には全力りでゲームを楽しむタイプなんだな……絶対とは言えないんだな」


「ドッタクって名前らしいから、見かけたら注意するんだぞ。アイツの性格だと強い奴なら誰彼構わずにいどんでくるからな」


〈それだと僕は安心なんじゃないの?〉


「スノーもボクも力なんて最弱の部類だからね」


 シュネーの言う通り、戦う力なんて全く無いだから、僕を襲った所で楽しめないだろう。それなら別に警戒をする必要性はなさそうだ。


 住民の女の子達と腕相撲すれば一瞬で負けるし、競争だって最下位だからな。


 まったく自慢にならないが、シュネーと一緒に己の弱さに打ちのめされた、住民達との交流会なるものを何回か開催したのだけれど、そのどれもが散々の結果だったのだ。


 縄跳びなんか全然飛べないし、球技だってあまり活躍できなかった。別に運動音痴じゃあないと思うんだけど、本当に僕は体を動かすのが苦手らしい。


 運動系はシュネーに任せないと、正直言って何も出来ないかもしれない。


「あぁ~まぁなんだ、スノーは変な奴に好かれそうだからなぁ……」


〈なに、その目は?〉


「これから新大陸に行くためのラコス攻略が待っているんだな。余計なトラブルは避けたいところでござるよ。向こうから絡みに来るかもしれない事は、一応視野に入れておいて欲しいんだな。まぁタクの事だから卑怯な事はしないと思うんだな」


 アイツなら正面から乗り込んできそうだもんな。逆にそれが面倒な事になったりするんだけど、空気くらいは読んでくれるだろう。


〈あぁそうだ、僕の方も面白い情報があったよ〉


「面白い情報? 学園に行った関係の話でござるか?」


〈担任の先生が露店大将さんだった〉


「……マジかよ」


 ティフォが物凄く驚いた顔をしていた。


〈それで、クラスメイトの子達がジャンシーズのメンバーだってさ〉


「それはまた、世界は意外と狭いでござるな」


 もしかしたら、彼等とも一度は会っているかもしれないと思うと、ちょっと面白いね。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る