【オンライン】357話:敵の一手、僕等の一手②
この場から移動しようとしているズナミが見えたので、咄嗟に睨みつける。
〈勝手な行動は禁止だからね〉
視線の先を追う様にして全員がズナミを横目で見ている。
「しかシ、このままでハ――」
感情的になりやすいなぁ、気持ちは解らないでもないけどね。
〈ここで勝手に動くなら、今後の作戦から外すよ。好き勝手にやられてやり返したくはないの? ちょっとは考える事をして欲しいんだけどね〉
「す、すまなイ……」
僕はワザと大きな溜息を吐いて、チラッとだけミスユ団長を見る。それは僕だけじゃあなく、全員がミスユ団長を見ていたようで、慌てた様にキョロキョロとしだした。
何にも言わずに、自分の顔を指差して顔が赤く染まっていく。
(わ、童を見なくても良くないか⁉)
(ズナミの面倒を見るのはお主であろう。しっかりと手綱を握っておれ)
(ズナミに頭脳は期待してないもんね~。ボクだってわかるんだから、頑張ってよね)
(皆が分かってる事なんだから、しっかりとホローしなさいよ。女でしょう。こういう時にガッシリと心を掴んでサポートしないでどうするのよ)
シュンと落ち込んでいるズナミの方に早く行けという感じで、ミスユ団長をジト目で見つつ、ズミナの方に顎を向ける。
〈僕等の作戦をしっかりとズナミ達に伝えておいてね。あの村は君達が統治してるんだから。下手打って後手に回るのだけは避けないとならないんだから〉
「分かったのじゃ」
ミスユ団長は観念したようで、ズナミに寄り添いながら部屋を出て行こうとする。
〈ズナミ、しっかりとミスユ団長の話を理解しなよ。二度も多くの仲間を失いたくないならね。君が失敗したら、傷つくのはズナミが大切に思ってる人達だよ〉
ちょっとだけ釘を刺しておこうと思い、微笑みながらズナミに向けて言う。
「はイ、分かりマシタ」
落ち込んでいた肩が徐々に震えて、最終的には青い顔をして部屋を後にする。
「脅し過ぎじゃないか?」
「しかし、アレだけ言っておけば、ズナミの下に居る者達にも伝わるでござろう」
〈もう後手に回ってる可能性がある以上、流石に好き勝手に動かれると困るんだからしょうがないでしょう。僕だってこんな役回りは嫌だよ〉
「すまぬな。本来ならば我等のような者の役割だったのう」
こうなると、ホームに居ついちゃってる座敷童達って大丈夫なのかな。
もう既に居ついちゃってるから、下手に追いだして呪いなんて掛けられたら元も子もない、ミスユ団長達みたいに、全く別の妖怪なら良いんだけどな。
「ラコス自体は友好状態だから、あっちからアクションを起こしてくれないと、何にも出来ないっていうのも、じれったいな」
〈今回は我慢強く耐えるしかないよ。僕等はグランスコートをしっかりと守らないとね〉
ミカさんにも今日の話の内容は信用が出来る人達に伝えるつつ、新聞や中央広場の掲示板なんかを使って、住民達にそれとなく意識していってもらわないといけない。
〈ゲーム大会を定期的に開くしかないかな〉
「護衛は任せてほしいな?」
「私達が居れば、何とかなるよね」
「兄ぃもいるし、大丈夫じゃないかな」
「拙者もいるでござるぞ~」
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