【オンライン】355話:繋がったイベント⑪
「はぁ~い、皆お待たせ~」
「呼ばれタと聞いタガ、なんノ御用だダロウか?」
多分ミカさんが連れて来たんだろうけど、僕等は良く解らなず全員が少し視線を混じり合わせにしてから、一斉にミカさんの方へと向く。
状況が良く解っていないズナミ一人が思いっきり首を傾げた。
「初めから説明するにも、ズナミさんの証言が必要になって来ると思ってね」
〈どういう事ですか?〉
ズナミが絡んでくるとなると、話しは僕等と戦った時まで遡って話す事になる。
「どうやらラコスが元々こっちに領地を拡大しようとしてたらしいのよ。そこでズナミさんの住んでいた場所を追いやって、こっちまで来る様に仕向けたの」
「確かニ我等ノ住マウ場所が無くなっタガ、あそこの連中でハなかっタはずダゾ」
自分達がやったとバレない様に気を付けながら、ズナミ達が住んでいた場所から気付かれない距離が離れた位置を荒らして、彼等が住み辛くなるようにしていたらしい。
それを証拠に、ズミナが住んでいた場所から離れた位置で荒らされた痕跡がしっかりと確認できたと、ミカさんが写真を撮っていたのを見せてくれた。
「でもさ、森を襲ってたじゃん? アレも狙い道理だったの?」
「えぇ、森に行ったなら、ズナミ達を倒して恩を売ってから森を取り込むって算段ね」
ミカさんは得意げに話してくれる。
ここまで調べるのは大変だったんだろうな。少なくともラコスに居る住人と信頼関係が結べるくらいは仲良くならないと聞けないだろう。
でもラコスの統治者はズナミと違って随分と策略家だね。
〈一つ聞いて良い、鬼達って頭脳派になるの?〉
ズミナの方を見ながら聞くと、腕組みをしてしばらく考え込む。
「自分モそうだガ、本質ハ力押シだ。知識を得タとしても、自分の力で勝たなケレバ、納得が出来ナイ生き物だと思っテ欲しイ。自分が最後に突撃しタノモ、その衝動があっタ」
「我慢してるとストレスが溜まるってことか?」
「うム、正直言うト性に合わナイ。力でぶつかった方ガスカッとスルし、相手ノ事も良く解ル。自身で戦イ、完全に負ケタから、主の下に付いタノダ」
初めに突撃しようとして、アレでは勝てないと思ったから策を弄したけど、負けた時の悔しさよりも作戦で自ら動かずに、じっとして戦場の把握と戦略を練っている時の方がストレスだったと語る。最後に盛大にキレたのは、自分の不甲斐なさと今までの怒りが爆発して、何も考えずに僕を追ってきたそうだ。
結局、良い様に誘導されて押し流される所だった時に悟ったそうだ。
そもそも魔物達には弱肉強食、勝者には服従を誓うモノが殆どだという。
「そうなると、ラコスが鬼の種族が住まうと言うのは正しい情報だろうけど、上に立ってるのは鬼じゃあない可能性が高いってこったな」
ティフォが面倒くさそうに頭を抱えている。
〈前に妖怪達と鬼は仲が悪かったって言ってたよね〉
「そうじゃな、我等ではないがのう。それに種族の違いなど些細であろう、鬼だって元をたどれば妖怪ではないか、時代の流れに種族の言葉が付いたに過ぎんのじゃぞ、いきり立って独立したいならすれば良いのじゃ。若いモノを勝手に巻き込まないでほしいのじゃ」
妖怪の里が嫌になって抜け出し、同じ意思を持った仲間と共にサーカス団として旅をしていたミスユ団長が昔の事を思い出したのか、愚痴が激しくなっていく。
〈…………あの門の先ってもしかしてさ、妖怪達の住まう場所なんじゃない?〉
今まで気にしていなかったが、ミスユ団長達が何処から来たのかを考えると、ラコスから先の大地から来たことになる。
他の大地の先だって、その土地にあった都市国家だったはずだ。
ただの思い付きだから、間違ってるかもしれないけど、可能性は高いだろう、そして僕等の確認出来ている都市国家しか見えていないだけで、統治してるのが妖怪だとしたら、何となくラコスに住んでいる鬼達らしくない行動も説明がつく。
「なるほど、その可能性は高いよ」
ミカさんが物凄くキラキラした眼差しで見てくる。
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