【オンライン】351話:繋がったイベント⑦
「ニンフィちゃんに続いて、我が町にまたまた可愛らしい子達が増えましたね」
「座敷童ですか、また面白い子に好かれましたね」
僕のホーム内をパタパタと駆け回って楽しそうにしている座敷童ちゃん。
そんな姿を皆が微笑ましく見守っている。
脛擦りと仲良しみたいで、一緒に探検でもするかのように隈なくホームを駆けずり回っている。あまり使われていない部屋もあるから、そこを彼女達専用の部屋にしちゃっても良いかもしれない。
最終的にカミルさんが自由にして良いと言っていた掘り炬燵部屋が気に入ったらしく、脛擦りと共に炬燵でまったりし始めた。
アンさんが気を聞かせて、ちょっとしたお菓子や果物を置くと座敷童は喜んでいた。
「私のまったり部屋が選ばれましたね」
「けど、懐かれてはないみたいですよ」
むしろアンさんの方に懐いている様子だ。
〈えっと、君はしばらく僕のホームに居るって事で良いのかな〉
僕は聞くと、しばらくじっと見つめてきた後に、コクっと頷きながら左手を伸ばしてきた。握手って事だと思い、僕は座敷童ちゃんの手を優しく握る。
==《座敷童の加護》を取得しました。
僕とシュネーにだけ聞こえる、システムボイスが聞こえてきた。
「久しぶり過ぎてちょっとビックリしたね」
〈そうだね。それよりも加護ってどういうことだろう〉
座敷童ちゃんも小首を傾げて僕を見ている。
『ふふ、契約する?』
〈ん~別にいいかな。したかったら良いけどね。好きにして良いよ、でも悪さをしたら叱るからね、それ以外は自由にして良いからさ〉
「ここなら遊び相手に困る事は無いだろうしね。色んな人がくるから、その時は大人しくしてるか、構って貰えば良いと思うよ」
僕達の言葉が少し意外だったのか、分かったと小さく可愛い声で頷きながら言う。
〈それじゃあエーコーさんの所に行ってくるから、後は宜しくね〉
「はいはい、お任せ下さいまし」
「カミルさんは座敷童ちゃんに構い過ぎて嫌われないようにね」
シュネーが釘をさす様に言うと、カミルさんから喉がしまった様な声が聞こえた。
「大丈夫よ、私がしっかりと見張っておくから」
「アンさんが居るなら大丈夫だな」
「そうでござるな、アンさんならばしっかりとカミル嬢の手綱を握っていてくれるんだな」
「酷くないですか⁉」
〈過去の行いから見るとね〉
「ちょっとアウトなんだよね」
全員で頷き、カミルさんを見ていると、隣に座っているアンさんが噴き出すよに笑い始めてしまった。
「そこまで酷かったの?」
「私達には良く解らないんだけど? カミルさんってかなり優秀な人だよね」
「後で、聞かせて欲しい?」
あんまり関りが無かったスズメちゃん達には、カミルさんが暴走した時の話を聞かせておいた方が良いだろう。確かに優秀な人なんだけどね。
「くふっ――ふぅ、エーコー様の泉に行くのならツリーハウスからですか?」
何とか笑いを止めたアンさんが、今度はしっかりと話を進めてくれる。
〈うん、転移で行くつもり〉
「それでは、私達の方から一報を送っておきます」
「ありがとう、さすがアンさんだねぇ~」
シュネーがアンさんをヨイショするけど、アンさんは微笑みながら少しだけ嬉しそうな反応をしてくれている。
「それじゃあ私は転移の準備でもしておきますかね~」
なんか対抗してカミルさんがテキパキと働き始めた。
〈ありがとうございます〉
褒められたいという意思が丸見えだけど、それはそれでカミルさんらしかった。
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