【オンライン】331話:繋がる道と町の状況




〈そう言えばさ、知らない内にダイチお爺ちゃんの仕事仲間だった人達が日に日に増えていっているような気がするのって、気のせい?〉


「気のせいじゃあないぞ……確実に増えていってる」


「ちなみに、ハーナ殿も似た感じで仲間が増えていってるでござるよ。ボケ防止に効果的だと言って、率先して色々な事を手伝ってくれているそうでござる」


「え? そんなに増えてるの?」


「実際の姿よりもちょっと…………うむ、ちょっとだけ若作りしたキャラクリになっているから、判り辛いのでござるよ。まぁ、ギャザラーが町に増えくれるのは嬉しい事なんだな」


 身長やら性別は弄ったり出来ないが、体形やら年齢的な見た目ならある程度は弄れる。そこはハーナさんが良い例だろう。


 この世界ならば、激しく動いたとしても、体は思ったままに動いてくれる。良いストレス解消にもなっているらしい。お爺ちゃんお婆ちゃん達のちょっとしたブームになっている。その火付け役がダイチお爺ちゃんとハーナさん。


 ちなみに、ケリアさんの工房から少し離れた位置には、蚕に似たモンスターをテイムして、昔ながらの糸巻き機で糸を紡いでいるらしい。


 ボウガさんの奥さんとトワちゃんが物凄く興味を持ってしまったらしく、住民の人達にもお仕事として、色々な事業が出来始めている。


〈それじゃあ綿なんて作ったら〉


「きっとご婦人の皆様が挙って色々なモノを造るんだな。人形作りが趣味のご夫妻が既にダイチ殿に勧誘されて、第二陣の波に乗ってきたことは確認済みでござる」


 木彫りの人形をボウガさんに見せて、師匠になってくれと頼み込んだ騒動もあったらしい、元々その人は建築のお仕事をしていた人だから、カンナや彫刻刀といったモノを造って、鍛冶屋の人達にも一目置かれているらしい。


〈良かったね、僕等が下手な事を言ってたら、教えるまでボウガさんとタムさん達に粘着されていたかもしれない〉


「その場合はティフォナんが生贄だから」


「はんっ、だから俺も一緒になって布教してたんだよ。誰がゲームプレイできるようになる環境を爺ちゃん婆ちゃんに教えたと思ってんだよ」


〈なるほど、だから急に増え始めた訳だ〉


 町の発展でボウガさんと関わる度に僕等がついポロっと現実にある知識を口にしてしまうから、その度に身代わりとしてティフォを残していくので、ついに対策を用意したと。


〈でもそうか、だから最近のボウガさんってティフォを見る目が変わった感じがするんだ〉


「やめろ、それ以上は何も言うなよ」


 だから最近のボウガさんって、テンションが高いの? 僕等……というか、ティフォに対しての視線がちょっと兄弟子的な感じで見ている事が増えた気がする。


「噂をしていると、本人が来るそうでござるからな」


「確かに子供ん時に工房で色々と教えてもらいながら、仕事をちょっと手伝ったりしてたけど、それは子供ん時の話だなんだから、関係ないだろう」


 本当にただ遊びに行っていた事が多く、人での足りない時にちょこっとお手伝いして、お駄賃を貰うのが僕と樹一のお金稼ぎだったから、兄弟子と呼べるかは確かに微妙だね。


「もう一つ付け加えるなら、家具屋の爺様も既にこの町に来てるでござる。インする時間帯は朝方が多いんだな」


 僕の知らない間に、本当に色々な人達が増えているようだ。

 把握しきれない所は、カミルやアンさんにお任せするしかないな。


 ボウガさん一人じゃあ大変そうだし、そろそろ追加で何人か纏め役の人を増やした方が良さそうだけど、誰にしよう……ボウガさんの奥さんは確実として、解体屋さん達にも声を掛けようかな、姉御肌で頼りがいがありそうな人だったしね。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る