【オフ】閑話:翡翠達の学年選び





 僕は家族会議鳴るリビングに呼び出された訳ですが、そこには何故か樹一と小鳥ちゃん。

 それに葉月ちゃんと双子姉妹が真剣な表情で座っている。


「では、翡翠ちゃんの学年問題を話し合いたいと思います」


 母さんの一言で、皆が一斉に拍手をして始まりの合図を告げる。


「本来なら俺と同じクラスなんだよな」


〈まぁ、そうだけど〉


 問題は僕の身長だろう、確かに小さい子は居るけど。どう見たって僕は良くって中学生だ、他の人達に聞けば小学生だと答える人が大多数だろう。


「でも翡翠ちゃんの肉体年齢は小学生だと、お母さんは聞いたので小学校で良いのではないでしょうか、勉強だって復習だと思ってやれば良いじゃない。皆に頭が良い事を自慢できるわよ。ただ、髪の色とかが心配ね。孤立してしまわないかしら」


「よろしいでしょうか、その不安なら私達が居る中等部でなら回避できる?」


「そこならば、私達がいますので虐めや孤立などから守ってあげられると思います。お友達との橋渡しも、元々が男の子だと知っている分の手助けもサポートいたしますよ」


 あれ、なんか何時もの桜花ちゃんと葉月ちゃんじゃないみたいに見える。


 大人顔負けな礼儀作法で、しっかりと挙手しながらハキハキと喋っている姿が何故か妙に違和感を感じるんだけど、普段とのギャップがあり過ぎる。


「中学は賛成だけど学年は? 私だって居るんだから、別に二人と一緒の学年にする必要はないわよね。勉強のレベルを考えて二年生からでも良いんじゃない?」


 小鳥ちゃんにしては珍しく、少し焦り気味な感じで喋っている。


「あら、時季外れの転入生というだけでも話題を集めるのですよ。小鳥ちゃんではいささか説得力が足りないと思います」


「私達なら、友達だったと説明と理由付けがしやすい?」


 双子ちゃん達が得意げに胸を張って、小鳥ちゃんに対して微笑みかけている。

 それに対して小鳥ちゃんは何も言い返せずに、悔しそうに双子ちゃん達を睨む。


「コレが静かなる争いか……火花が見える様だな」


「何を関心してるんだな。他人事だと気付ける癖に自分の周りは鈍感とか、アニメの主人公でも気取ってるんじゃないかと錯覚してくるんだな」


 外野の樹一と雷刀は随分と楽しそうにしているのが、物凄く羨ましい。


「う~んそうね……お母さんとしては、中学一年からが良いんじゃないかって思うわね。個人的には初等部からでも良い気がするんだけどね」


〈母さん、それは殆ど願望が混じってるでしょう。僕に何をさせたいのさ〉


「気のせいじゃないかしら。翡翠ちゃんが疑り過ぎなんじゃない?」


 母さんの場合は、なんか下らない理由が大半を占めていそうだから初等部は却下だ。


 樹一達と一緒の学年は色々と問題もありそうだし、諦めるしかない。悪友達と離れるのは少し寂しいけれど、下手なトラブルを起こすよりもマシだろう。


 そうなると、小鳥ちゃんの居る学年か、双子姉妹の居る学年かって事になるが……どっちにしようかな、最近はどちらとも良く話すし、同じくらいの頻度で会っている。

 だから、どちらも気心の知った仲と言っていいだろう。


「翡翠ちゃんは決められない感じかしら?」

〈正直、どっちでも良いかなって思ってる〉

「琥珀ちゃんの事も考えるなら、一学年からやる方がオススメ?」


 そうか、確かに在学中に入れ替わる事もあり得るなら葉月ちゃんの言う通りだな。


「それじゃあ、一学年からで良いわね」


 なんか母さんから妙な圧を感じるので、思わず頷いて答えてしまう。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る