【オンライン】307話:勝負と試合と勝敗の価値(16)
〈さてと、それじゃあお姉ちゃんからも徹底的に潰して良いってお達しが出た事だし。最後の仕掛けをしてきますかね〉
僕がそう言うとカミルさんが楽しそうに微笑みながら、次は何をするのかっていう期待の籠ったキラッキラした目を向けてくる。
「最後の仕掛け、ですか?」
此処に居るメンバーではアンさんだけが戸惑った表情で僕を見てくる。
「これ以上に何をするつもりなんですかね~」
〈簡単だよ。今まで練習してきた事の復讐を応用で出来る事をやるだけ。つまり、このイベントの最終日に向かって全員で一気に盛り上げて楽しもうって感じにすれば良いだけ〉
桁違いまでの差が出ているなら、別に使わなくても良かった手ではあるけれど、少しでも手を抜いたとあっては、お姉ちゃんに後で何をされるか分かったモノじゃあないからね。
やれる事は、全力でやって使える手は全て使わねばならない。
「よし、じゃあ牧場に行くか」
お姉ちゃんの恐怖から逃れる為に、ティフォもガウもやる気が十分という感じだ。
「ならば、拙者はミカ嬢に計画を伝えてくるんだな」
〈よろしくね。あぁそうだ、露店を担当している店長たちにも伝達はしといてね〉
「それは、打ち上げ的な事でござるか? それとも何か別の策でも?」
〈どっちもかな、天パン焼きとか、店長達が出していたアイディアを好きに披露して貰っても良いよって言えば、勝手に人を集めてくれると思う〉
正直、僕よりも商売関係の事柄には断然と言って良いほど、店長達の方が人を集める事には長けているだろうね。大きくなったとは言っても、歴史もなにもない場所に人を呼び込んでいる様で、グランスコートの経済を上手に回してくれている。
「了解したんだな。まぁ、初めに来た時は拙者もアホだなぁとは思ったでござるが、見てみたさは確かにあったんだな」
店長達の提案というのは、昔の料理アニメであった様な派手な演出をしつつ料理を作るという事をしたかったらしいのだが、今回はサーカス団を中心にしたかったので待ったの声が掛かってしまった企画でもある。
「実際に見たが、確かに見応えはあるんだよね~。無駄な能力スキルな気がするけど」
誰よりも料理を作って貰っている時に喜んでいたのは、シュネーなんだけど、その事を本人はすっかり忘れているのか、茶化すように呆れながら言う。
「いやいや、アレはあったらあったで楽しいんだからフレーバー要素で良いじゃん」
「ティフォナ妃も一緒になって楽しんでいたでござるからな」
御供のスパイク達と料理を食べた時に、物凄く良いリアクションで返していた。
無駄に回復魔法の光を使って、美味しさを表現してた謎のテクニックだった。傍から見てる僕としては、すっごく楽しかったけど……その時は、少しだけ距離を置いてみてた。
「それならば、集客効果も大きく上がりそうですね」
〈でも休憩スペースっていうか、この場合は試食スペースを作らないとダメそうだね〉
「その辺は俺達でやれば良いだろう」
「ボウガさん達には私達から話をしておきます」
やる事が決まって、全員がそれぞれの役割の為に動き出す。
「それじゃ~、今日も一日頑張りましょう~」
〈それは本来は僕のセリフでは?〉
まぁ、こういう掛け声を出した方が雰囲気も出るし、ここはシュネーに任せるようかな。
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