【オンライン】303話:勝負と試合と勝敗の価値(12)
〈凄いね……アレってさ、マネできるの?〉
もう息が合い過ぎて、途中途中で何をしているのかが全く分からない。
空中で飛び跳ねるのは見たけれど、他の人達とスピードも迫力も違うのだ。
空を駆ける様に移動して、その足元からは迫力のある演出で火柱の様な炎の道が出来て、線香花火が激しく燃えて飛び散る様にして飛び跳ねているのだ。
小さな花火が枝垂桜みたいになっていて鮮やかだった。
ズナミが空中で振るう演舞もド迫力で、大剣を振るうと空を切りながらも、突風を発生させて空を舞うのも、また絵になっている。
「流石にアレはマネできないんじゃないの?」
シュネーが圧倒されたながら呟く様に言い、ズナミ達の演舞に見入っている。
ズナミとミスユ団長のギアを一つ一つ魅せられて、瞳をキラキラと光らせている。
「ちゃんと絵になる様に考えられてる技構成だからな、実践じゃあ使い物にはならないだろうけど、意外と行けると思うぞ。というよりも、ガウなら確実に出来るだろうな」
「いや拙者一人では無理でござるよ。流石にあのレベルくらいの魅せ技ではもう一人は欲しいでござる」
出来ないと言わないって事は、きっと再現は出来るんだろう。
ただ、僕やティフォでは無理だろう。となると、ガウとは犬猿の仲みたいな間柄のヤツだろうけど、今は何をしてるのやら。
「ここはお客さんの方が多いみたいだね」
「どっちかっていうと、将来はあんな感じに動けますってきな感じて見てる人もいるな」
〈ズナミ達の演舞は誰が見ても憧れるでしょう。ここも問題なしだね。僕等の出番も要らないし、この調子で続けてくれれば、問題は起きないでしょう〉
問題が起きたとしてもズナミとミスユ団長が居れば、変な事をしようとしている人は瞬殺されるだろうけどね。ズナミ達が舞台に居る間は、エリエさんやドイさんが補佐に徹している。
あっちもあっちで息の合ったコンビで、補給から客席の人達の護衛までしっかりと行き届いているのが良く解る。一回の公演が終わると、見ていた観客さん達は誘導して、すぐさま待ちで並んでいたお客さんを空いている席に座らせていく。
〈上手く廻ってるね〉
「客とのやり取りは露店三人組である、彼等に習ったでござるからな。接客はケリア妃指導の下で、全体に周知させていたんだな」
「徹底してるね」
ポカンと口を開けながら、シュネーが関心している。
「ここは大取だからな、そりゃあ気合を入れるだろう」
立ち歩きで食べ物や飲み物を販売している人も、このエリアには多めにいるみたいだ。
「あ、スノー様だ~」
「本当だ、ねぇねぇ。学校に行けばああいう事も学べるのかな?」
「狩りの仕方とか、戦い方を教えてくれるの?」
「すいません、聞きたいのですが。学べるのは子供だけなのでしょうか。我々も学びたい事がありましてね。農業の事や、経営学など――」
演舞を見終わったお客さん達が僕とティフォを見つけて、わらわらと集まって来た。
〈お、落ち着いてください。そいった事は後でお聞きしますので、今はこの行事を楽しんでください。気になるようでしたら、この後に相談箱を用意しますので〉
文字を書けない人も多いだろうから、その点も踏まえて誰かしらに係の人を頼まないとダメだけれど、まさかここまでの反響とは思わなかったな。
一先ず、騒ぎが落ち着くのまってからズナミ達に謝らないとな。
自分達が問題を起こしていしまっては本末転倒だよ。
「ふぅ、それにしても学校は子供達だけの認識だったな」
〈うん、まだ大学みたいな発想は僕には無かったね〉
「農業系は、ダイチ爺やなら喜んでやってくれそうだけどね~」
「それでも一度は話を通しておかないとダメなんだな。まぁ、ダイチ殿ならばもうすでに、グランスコートでの弟子を育てていても不思議じゃあないんだな」
専門学校みたいな感じで、大人たちが通える場所も作った方がよさそうだな。
そこで文字の勉強も一緒にさせちゃえば、上手いこと行くかもしれないが……問題は、教える立場の人材確保だろうな。
こればっかりは、今現在ではどうにもならない。
臨時でイースさんや、カミルさんに頼むしかないだろう。
なんか、森の妖精や精霊達もズナミやミスユ団長達に感化されて、下手に騒ぎ出さない事を願うばかりだ、エーコーさんに丸投げしたいけれど、流石に無理だろうから、僕達に厄介事が回ってくるのは想像に容易いんだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます