【オンライン】237話:ハロウィンの準備(2)
鬼達にもハロウィンのお祭りについて説明し、彼らなりのお祭りにして楽しんで貰いたい。個人的には、どんな感じになるのかを見てみたいと言うのが一番の理由だけどね。
やっぱり魔物である彼等とは感覚が違うのかもしれないし、その違いを見れると思うとちょっとだけ楽しみが増えるというものだ。
僕の背なかをちょいちょい突っつく人物が一人。
「主ヨ、お祭りと言うのは何となく解ル、想像できデキルのだガ……ハドびん? と言うのが解らナイ。それはそういうモノなのダ?」
「ハロウィーンんだよズミっち」
〈間違いじゃあないけどさ、発音を変えるのは止めてあげようねシュネー〉
特に言葉とか意味を知らない側からしたら、ややこしい事にしかならないから。
軽く補足説明を加えながら、どういった感じのお祭りかを教えるがやっぱり首を傾げる。
「つまりは幽霊たちのお祭りでダロウ? なぜ我々ガ?」
〈簡単に考えよう、親睦を深める為のお祭りだと思えば良いと思うよ〉
「皆で遊んで仲良くなろうって感じで騒ごうってお祭りだよ。深く考えないでも大丈夫だって、ズミっち達を怖がってる人が多いからさ、コレを機にグランスコートの村人さん達と仲良くなろう作戦だよ」
シュネーが凄く良い事を言ってる。
「なるホド……お心遣い、感謝スル」
「一緒に頑張ろうね……ん~、ちょっとこうして手を出してもらって良い?」
ズミナに手の平を見せる様に出させて、シュネーは少し勢いをつけてハイタッチをする。
「……コレは?」
「頑張っていこうとか、良くやった的な挨拶みたいなものかな」
〈まぁ、気合の入る挨拶だとは思うけど。説明が大雑把過ぎないかな?〉
「良いじゃん、こういうのは勢いとノリだって」
「うむ、小難しい事は良く解らナイが、コレは分かり易くて良いな」
いや、少しは考える力は付けて欲しいけど、ズミナが気に入ったんなら良いのかな。
「楽しんだもの勝ち?」
「迷惑にならない範囲でね、偶にムーンは暴走するから心配なんだから」
「……そこまで酷く無い……はず?」
「サクラの反応的に、イヤな想像しか出来ないんだけど。なに、ムーンってホラー系が好きな子なの? 周りを巻き込むレベルで?」
「本当に稀ではあるんだけど、ホラー系は大好きなのよ。なんど我が家なのメイド達を泣かした事か、お父様だって涙目で怖がってた事があったくらいだから……好きになった子なら尚更にね、色んな反応が見てみたいらしくって、悪戯っ子になるのよ」
「む~、そこまで酷くない?」
「それってさ、サクラも泣かされたの?」
なんか後ろにいる女子三人がちょっと怖い話をしている気がする。
スズメちゃんの質問に、サクラは何にも言わずに顔だけを背けた。
「私はどうしましょう、何か良い案は無いですかティーちゃん」
「牧場だし、それに合わせた感じの模様しモノが良いと思うけど……馬も牛も鶏だって居ないしね。モンスターもスパイクくらいしか居ないんじゃあ、ちょっと難しいよな」
出来たばかりだから、その辺は仕方ない。
本来なら初期に配布されるポイントで動物も購入できたはずなのだが、それら全てを設備投資に使ってしまったので、動物が一匹も居ない牧場になってしまっている。
元々、飼育して動物達を触れ合いというより、モンスター関連の育成や放牧をする感じを想像していたらしいから、間違いじゃあないんだろうけど、どうやって経営していくんだろう。流石にティフォのモンスターだけを預かる訳じゃあないだろうし。
「いっそのことテイマー向けのハロウィンイベントとして、施設を解放したらどうでござるか? 牧場なら連れていけるモンスターを関係なく、テイムしたモンスター全員を連れまわしながら遊べるはずでござるからな」
「なるほどね、それなら私でも出来そうですね」
「後は、モンスター向けの食べ物を売る屋台なんかを建ててあげれば良いかな。それならお客さんも来るんじゃあないか? 集客率も見込めるしね」
前のイベントでもテイマーさんが多く居たから、イイ感じに狙い撃ちが出来そうだ。
〈それならモンスターも仮装出来る様にしてあげたら? ケリアさんなら喜んで作ってくれると思うよ〉
むしろ率先して参加してくるだろうと想像が出来てしまう。
僕等だけで楽しむと、絶対に後で拗ねそうだしね。
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