【オンライン】189話:浄化のお仲間一体目
街の入り口には関所が見える。
「どうするでござる? 少しだけ鬼の街を見ていくでござるか?」
〈先にクラゲとカタツムリを捕まえに行こう〉
教えてもらった生息地は、鬼の街に行かずに右に反れていって街に沿って行くと渓谷の小川と街から流れ出ている川が合流している所がある。
その場所にお目当てのモンスターが生息しているらしい。
「妹とその友達が午後からプレイするだろうし、その時に一緒に観光すれば良いしな」
「捕まえたら少しだけでも観光しちゃあダメかな?」
シュネーは早く街並みを見て回りたい様で、右道に反れて行く途中で後ろ髪惹かれるよに何度も後ろを振り返っていた。
〈早くに捕まえられて、時間が余ったら見て回ろうよ〉
「本当! じゃあ早く行こうすぐにいこう。さっさと捕まえよう」
僕から離れて、率先して先頭に立って先導し始めた。
「この川なら良い魚が釣れそうね。渓流釣りなんかも楽しめそう」
街に沿って歩いていると、段々と下へと向かい川のすぐ横まで来れた事で、透き通った川には大きめの鮎が泳いでいるのが見え、それをケリアさんが嬉しそうに眺めて居る。
「ケリア嬢は釣りが好きなのでござるか?」
「えぇ、リフレッシュする時にはこういう雰囲気の良い場所で釣りをするのよ。住んでる場所も場所だから長い連休時にしか行けなかったけれど、ゲームでもこういう場所があるなんてね。こんど時間が出来たら釣りに来たいわね」
ケリアさんはもう釣り人の顔になってしまっている。
〈冷たいね~〉
川には紅葉した落ち葉が流れていて、それもまた綺麗だ。
「気を付けろよ。潜水術とか泳ぎの技能を取ってないと溺れ死ぬからな」
ニンフィと一緒に少しだけ川に手を入れ、温度と流れを感じていると、すぐ後ろからティフォが僕を支えてくれる。
「ねぇ、クラゲみたいなモンスターってアレの事かな」
シュネーがいち早く目的の魔物を見つけた。
浅瀬付近に漂っているが、それは水の中ではなく空中に浮いている。水面でフヨフヨと浮いてアメンボみたいに水面をチョンチョンと突いて遊んでいるみたいだ。
水の中で泳いでいる奴等もチラホラと居る。
「そうでござるな。図鑑で見たヤツと一緒なんだな」
図鑑では一匹だけしか描かれて居なかったけれど、実際には四匹ぐらいが常に一緒に行動しているようだ。大きさは僕の手の平に納まりそうな大きさだった。
「四匹の塊で一個体って感じだな」
「アクティブ系のモンスターって訳じゃないのかしら?」
カミルさんに見せてもらったからか、僕の図鑑を開くとそれなりに情報が載っている。
〈感知は『魔力』で襲われるそうですよ。近くで魔法を使うと襲われるそうです〉
「どうやって捕まえるの?」
マニュアルと書かれたページにNEWというマークが浮かび上がっていて、捕獲というページが追加されていた。どうやら、僕がポイントで買ったアイテムを購入したら追加される仕組みの様で、使い方がイラスト付きで紹介されている。
〈えっとね、体力を半分に減らすか、エサを用意したりして仲良くなったモンスターに入ってもらえれば、捕獲が完了するって書いてある〉
「それじゃあ特に危ないモンスターって訳じゃあなさそうね」
「触っても特に襲われないよ」
シュネーなんか面白半分にツンツンと傘部分を突いて遊んでいる。
怒って攻撃を仕掛けてくる様子は無い。
ただ、僕が近付くと何故かモンスター達は避ける様に離れていく。
〈…………ティフォ、行ってきて〉
「そんな悲しそうな顔して俺を睨むな」
どうせティフォならすぐに仲良くなれるだろうと、カプセルを彼に渡して川辺でいじけながら石を積んでは自分で崩して遊ぶ。
案の定というか、僕が離れてすぐ。ティフォには無警戒でクラゲ達が遊んでほしいという感じで楽しそうに彼の周りを飛び回って居る。
「……捕まえたぞ」
十分くらいだろうか、浅瀬でティフォがクラゲ達と戯れていたら、自分達からカプセルに入ってきてくれるようになった。
「スノー、そんなに恨まないの」
〈ふん、別に良いもんね~〉
「あらあら、拗ねちゃって可愛いわね~」
ケリアさんとシュネーに慰められながら、もう一体を皆で探す。
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