【オンライン】185話:人が増えれば汚れも増える
お姉ちゃん達の事はかなり気になるけど、今はグランスコートを住み良い場所にしていく為にも僕等は色々と動かないといけない。
〈とにかく、お姉ちゃん達の事は棚に置いといてさ、今日から忙しくなるんだよ。今は目の前の出来る事に集中していこうよ〉
「どうせすぐには出来ないんじゃないかな」
シュネーの言う通りだろう。まだフルダイブに必要なヘッドギアは出回っていない。
話題を多少なりと強引に変えて、今は忘れてしまうのが一番だ。
小鳥ちゃんと咲沢姉妹は別枠として今週末にはプレイが出来るだろうけど、他の二人は最速でプレイできる環境を整えられるわけがないんだから。
「そうだな、俺達の安住の地を守る為にもしっかりと準備しておかないと」
「先ずは各家々に水路を引いて、汚水処理場の建設でござったかな」
まだ気落ちしているものの、顔色はだいぶ良くなってきた。
〈うん、最低限の快適さはやっぱり必要だし、昔は汚水のせいで色々と大変だったみたいだしね。使える技術は使って行かないとね〉
その為にも色々とお話を聞きに行かなきゃならない人が居る。
どういう訳が、イベントが終わってからというものカミルさんが頻繁にグランスコートに顔を出す様になったのだ。
理由はエーコーさんが住んでいる泉へ行くためと本人は語っていた。
「どうするでござるか? この時間帯ならエーコーさんの泉に向かう方が会える確率が高いんだな。朝早くにカミルさんを見たって人達が何人か居たみたいなんだな」
ガウは先にインしていて村の様子を見て回ってくれたらしい。
〈じゃあエーコーさんの所に行こう。汚水を綺麗にしてくれる魔物を知ってたら教えて貰いたいからね〉
「じゃあ決まりだな」
「お~い、ニンフィ~。エーコーさんに会いに行くよ~」
イベント時は殆ど一緒に居たせいか、かなりエーコーさんに懐いてしまったニンフィは彼女の名前を聞いて嬉しそうに飛んできた。
〈わわっ! 大丈夫だよちゃんと一緒に行こうと思ってたから。こら、そんなに興奮しないでよ。わふっ⁉ ほっぺもスリスリしなくて良いから~〉
ニンフィに散々くっ付かれてから、強制的に乗せられて早く行こうという感じで皆を扇動するようにして先頭に立ち、皆で転移陣へと向かう。
☆★☆★
ニンフィと一緒に転移すると地面から飛んだ感覚がそもそもない。
眩しさから解放されるとすぐにエーコーさんの泉が視界一杯に広がる。
「前来た時よりもグレードが上がってねぇか?」
「石垣が出来上がりつつあるんだな」
「本格的にお城を建てる事にしたんだね~」
ニンフィはキョロキョロと周りを見回してエーコーさんを探している。
「なんじゃお主らか、今日は何用で出来たのだ?」
「あれ~、スノーちゃんじゃあないですか」
エーコーさんとカミルさんが二人セットで居るのも最近は当たり前になったな。
〈ちょっと聞きたい事がありまして。生活排水を処理する場所を作ろうと思ってるんです〉
「それで汚水を綺麗にする植物か魔物でも知ってたら教えてほしくって来たんですよ」
カミルさんは小さく「なるほどね」と言い。
エーコーさんは腕組みして考え込んだ。
「すまん、我はそういったことは詳しくない。人族とは違い我らの糧は【フィスィ】あ~自然エネルギーと言った方が伝わるのか? マナとか言うんじゃったか? それ故に汚水を綺麗にする魔物なら一体だけ心当たりがある」
そう言うエーコーさんを横目に、カミルさんが分厚い書物を取り出してパラパラ捲り始めて、一生懸命に何かを探している。
「汚水を綺麗にする……そうなると二種類のモンスターが必要になりますね」
其々のモンスターを空中ディスプレイに表示させて見せてくれる。
一つ目はクラゲの形をしたモンスター。
二つ目はカタツムリの様な、どちらかと言えばヤドカリみたいなモンスターだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます