【オンライン】134話:イベント騒ぎは大騒ぎ(二日目)
※※※ ティフォナス達が合流する少し前 ※※※
左右の囮役グループが若干ズレてしまっているが、誤差の範囲だろう。どちらも良く敵を引き付けてくれているので、正面の方へと敵が固まりつつある。
多少の問題は周りの人達がカバーしてくれているので問題なし。
一番の問題は、外回りで敵を追い詰めている人達だろうね。
「ねぇねぇ、アレってさ何が起きてるのさ?」
〈シュネーさんや、僕に聞かれてもねサッパリ分からないからね〉
「まだエーコーさんは分かるんだけどさ、あの正面には立ちたくないけど」
木の矢と言うよりも、丸太の杭って言葉の方が良い気がするけど、そんなモノを連発しているのだ。流石、ファンタジックな世界だよね。
どこかの有名な昔の人が行った、リロード時間の間に後ろの列が次の弾を発射する。そんな手段を戦いの前に教えてあげたら、予想以上の恐ろしい事になっている。
==戦いの始まる少し前に――、
『のう装填に時間が掛かるなら、その間に攻め込まれてしまうのではないか?』
〈数があるんだし、装填する間に別のを発射してけば良いのでは? 昔の人はそうやって工夫しながら戦ったそうだよ〉
『ほう、なるほどのぅ』
僕は決して悪くない。
あんなに大きなもので勝手に暴れているエーコーさんが悪いと、僕は思います。
あの時に見せた微笑みが、こういう事に繋がるなんて思わないもんね。
ケリアさん達の場所では常に巨人が地面を叩いている、そんな感じの爆音がこっちまで聞こえてくるのだ、近くに居る鬼達には相当な恐怖であろう。
というか何匹か小鬼が空高く打ち上げられているのも見える。
鬼が恐怖で逃げる絵面って……どんだけ怖い絵面なんだろう。
そして何故かケリアさん達の一帯だけ、異様に綺麗に見えてしまう。
桜の花びらが舞い散ったと思ったら、氷のバラが咲き乱れたり。光の粒が線香花火の様に弾けては消えた場所から、バラの花びらが空高く舞い上がる。
ちょっとした花火大会みたいで、思わずシュネーと一緒に拍手してしまう。
「綺麗だね~」
〈遠目で見てるだけならね〉
間近にいる小鬼達からしたら、良く解らない集団が理解不能な事をしながら攻めてくる。理解できない団体が襲ってくるなんて、そりゃあもう恐怖のだろうね。
大外回りの二組に押されてか、安全圏にいたはずの一際大きな鬼が段々とこちら側に寄り始めている気がする。
「あのさ、あのままだとティフォっち達とぶつからない?」
中央付近に居た大きな個体とかち合ってしまった。
ただ、大きな大きな鬼もケリアさん達やエーコーさんの攻撃から逃げている様子だった。小鬼達が次から次に逃げ出すので、小鬼達に引っ張られるようにして来た為か近くに居るティフォ達に気付いてない。
そして段々と集められているという事はだ、必然とケリアさんとエーコーさんが近付いて破壊力が増していくという事になる。しかも、近距離と遠距離というバランスの取れた。
〈ん~、逃げ出したね〉
大きな鬼のせいではなく。
勢いが増して行ってしまった、囲い組から放たれる攻撃の嵐によって。
「それじゃあボクらも準備しましょうかね」
『〈みなさ~ん、正面をワザと開けてくださいね~〉』
アライアンス・パーティーシャウトという“パーティー内の叫び”のコマンドで文字を入力すると、自身が見渡せる(正確には言うとフィールドマップサーチ範囲内)範囲の人達に僕が打ち込んだ文字が表示される。それを確認した其々の位置にスタンバっている人達が、一斉に手を振って「了解」の合図を送ってくれる。
「全箇所、大丈夫そうだね」
『〈ティフォ達が通り過ぎた辺りから順次、トラップを発動させていってください。ケリアさん達とエーコーさんは決まったルートを通って下さいね〉』
「了解よ~、じゃんじゃん撃っちゃいなさい」
「気にしないで妖精ちゃん達。私達には矢の大雨ぐらいにやられるタマじゃないの」
「ふふ、やられるとしても、一人で何て逝かないから。色々な子達も一緒に道連れよ」
なんか、違う意味で撃ち難いんですけれども。
流石は鬼達に恐れられる人達だ。
シュネーの顔も若干だが引き攣っている。
『〈え~、周りの皆さんも流れ弾にはご注意ください〉』
ケリアさん達のせいで味方に被害が出ない事を、祈ろうと思った瞬間だった。
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