【オンライン】122話:イベント騒ぎは大騒ぎ(一日目後半)
大きい子から小さい子まで、半々に分かれて感じになった。
〈何気に育てた人に似てくるのかな〉
スパイクちゃんとピチという名前のモモンガみたいなモンスターを見て思う。ピチはアズミルのテイムモンスターなのだが、戦闘系の技や能力が一切ない。
その代わりに、監視目や気配を消す能力が豊富にある。
だから森の中ではかなり重宝する能力だ。
「東の連中はもうハチャメチャね。すっごい荒地になっちゃってる」
森の中で暴れたい放題に戦ったせいで木々は燃えたり折れたりしているようだ。
山火事にはなっていないのは、周りのモンスター達が消火してくれたからだ。
「お主の助言が無ければ、今頃はこの辺も火の海じゃったろうな」
エーコーさんが僕の頭を撫でながら言う。
〈それは……よかったです〉
何故か撫でる手が止まらず、終いには頬っぺたをムニムニと摘まみ始めた。
「ニンフィもじゃが、やはりお主も相当に気持ち良いな」
何時の間にやら抱っこされて、ニンフィから降ろされてしまった。
少し不満そうにしていたニンフィが好きを見て、僕の頭の上に乗って来た。
「こら~、ボクの特等席を取らないでよね」
エーコーが頭を撫でてきた時に避けたせいで、自分の席を取られたシュネーがニンフィを押しのけようとしているが、絶対に動かないと頭に巻き付いてくる。
フワフワだから痛くはないけど、ティアラみたいな形になるのは止めて欲しい。
「じゃあ、そこはいからさ。後ろの方をちょっと開けてよボクはそこに座るから」
「ふぃ」
それを聞いてお互いに納得の感じになったらしい。
〈……ニンフィ、大きさってある程度は自由自在なんだね。というか頭の上は君達の所有物じゃあないんだからね。人の頭の上で争わないでよ〉
「はは、愉快じゃあな」
皆が僕達を見て和んでいるところ悪いんだけどさ、少しは考える時間をくれないかね。
せっかくアズミルさんに偵察して貰ってるんだから。
「あぁ居たよ。ちょっと奥まで進んでるみたい。けど、かなり強引に進んでる感じだね」
〈強引ですか……それは、数で押しているって事ですか?〉
「人数もそれなりにはいるけど強引な力技ね。ド派手な範囲魔法や技をぶっ放しまくり、使人数を使って雑兵を無理やりに押し開いてリーダー一直線って感じよ」
〈何処か近くに休める陣地でもあるんですか?〉
「無いわね。自分の陣地は作ってないみたい」
〈え? それって大丈夫なんですか?〉
「いや~、大丈夫ではないと思うよ」
状況を聞けば聞く程に、色々とダメな部分が露見していく。
〈えっと~、普通はそんな感じで攻略するんですか?〉
僕が初心者で何も知らないから、それが普通の事なのかもしれない。
「やっぱどう考えても無謀だよな~」
彼等の仲間であるテイマーさんが頭を掻き、残念そうに呟いた。
「唯ごり押してるだけだもんな。攻略班良いよ、何度も何度も突っ込んで暴れるだけ暴れてさ、そんんで武器やら防具に回復アイテムとか調達したり作ってる、サポートメンバーの事は二の次なんだよ。文句ばっかりで嫌になってくんだよな~」
相当な不満が後衛陣には溜まっているっぽいね。
分からなくもないけれど、息切れするのは早そうだ。
ジャンシーズの人達には悪いけど、あまり意識しても仕方なさそう。
問題はヴォルマインの方かもしれない。
〈まだティフォ達は帰って来ませんか?〉
「うむ、まだ時間が掛かりそうじゃな」
自陣を築いて、しっかりと土台を作ってから攻め込むつもりらしい。
しかも、偵察もちゃんと警戒して情報が全然得られない。
〈う~ん、面倒だからある程度は妥協して協力関係が成立すれば万々歳なんですけどね〉
能力も戦略もしっかりしてそうだから、ある程度は楽が出来そうだし。
というか、なんで僕が全体の指揮をしているのかが分からない。
〈ねぇ、僕よりも上手く指揮が出来る人なんて沢山いるよね? 僕じゃなくても――〉
「ダメよ」
「却下じゃな」
最後まで言い終わる前に拒否された。
子供みたいな僕に色々と指示される方が嫌だと普通は思うんだけどな。
なんで此処に集まって来る人達、全員が笑顔で僕の行った事をそのままに行動に起こそうとしてくれているのだ。僕からするとね、逆にすっごく怖いんだけど。
「罠の設置は大体終わったよ~」
シュネーが飛んできて知らせてくれる。
ウサギさん達と、デレデレ顔の女性陣と男性陣が戻って来た。
「やっぱ良いな、モフモフの子達が一生懸命に動き回ってる姿は」
「えぇ、休んでる時の無防備な状態もかなり良いわよね」
そんな会話をしながら、物凄く楽しそうに帰って来た。
〈そろそろ、新しい罠を作ってみようかな〉
金属部品も揃ってきたんだから、何かしら作れるだろうな。
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