【オンライン】107話:イベント騒ぎは大騒ぎ
「質は下の下。中には良いモノもあったけど……そこのアンタともう一人、此処には居ないヤツのが仕留めたヤツだろうね」
ケリアさんを見ながらレースさんはキセルを口に当て煙をポクポクと立ち昇らせている。
最後にチラッと一瞬だけオレとシュネーを見ながら呟いた。
『え? どうして』
「こっちに来てなかったよね」
「アタイの能力さ【千里眼】ってね。まぁ、狩った獲物を持ち帰ったのは上出来だけどね。数が多い時は何匹かは森の泉の水で洗ってから祭壇に祀ってやるこった」
「レースさんは手伝わなくて良いんですか?」
ひょっこりと顔を出したトワちゃんがレースさんに話を振るが、鼻で笑うようにオレ達全員を一人一人みながら、すぐに興味を失せたかの様に空を見る。
「はん、アタイの仕事じゃあないからね。アタイの認めた上質な獲物で手を貸してやりたいってヤツじゃあなけりゃ誰が手を貸すもんかね」
ただ物凄い警戒されているというのはヒシヒシと感じ取れる。
『えっと、馬達を見てきても良いですか?』
「勝手にしな。アレの管轄は夫だしね。トワも居るんだ許可は最初に貰ってるんだろう」
言葉の端々が刺々しい。
逃げ出すという訳じゃあないけど、足早にティフォ達の方へと向かう。
今までは何だかんだで、すぐに仲良くなったりしたていたけれど……コレは中々に辛いモノがあるね。敵意とまではいかないでも、嫌われているという感じがしっかり分かる。
「う~ん、やっぱりスノーちゃんでもレースさんは厳しそうだね。元々の性格がキツイっていうのもあるんだけど、あからさまに私達とは態度が違うもん」
トワちゃんが苦笑いしながらも、ちょっとだけ心配そうにオレ達を見た後にレースさんを振り返って視線を落とした。
「仕方ないわ。此処の人達を蔑ろにしたのは私達【渡り人】だから」
ありゃりゃ、少し暗い感じになってしまった。
ケリアさんに関しては、前に此処で何があったかを知ってるんだろうな。
「そうかなぁ~。意外と優しそうな人だと思うけど?」
ボウガさんと似てるんだろうね。
少なくとも取り付く島はあるだろう。アドバイスっぽい事を教えて貰ったのだから。
千里眼の能力に付いたは、何時でも見てるって脅しにも取れるけども逆に言っちゃえば、すぐにでも認めて貰えるかもしれない。
『少しずつ仲良しになっていくしかないね』
二人が目とパチパチとさせてオレ達を見てくる。
「貴女達ってばポジティブねぇ~」
「にゅ、そう?」
『敵対関係じゃなければ、ゆっくり丁寧に仲良くなっていくだけでは?』
またしばらくの沈黙。
「なんだろうね~、間違ってないけどさ。コレって普通なの?」
オレ達をコレ扱いしてトワちゃんが指さしてケリアさんに聞く。
「私に聞かないでちょうだい。まぁ、こんな子達だから上手く回ってるんじゃないかしら」
さっきまでの暗い感じはもうなくなっていた。
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