【オンライン】103話 イベント騒ぎは大騒ぎ
イベントの開催は約一週間後。
初めての大型イベントという事もあって、情報が出回ってからグランスコートのフィールド内でも沢山の人が出入りしている様子が見て分かる。
「あんまり本格的には狙って来ないと思ってたけど、結構な偵察隊が居るじゃない」
ケリアさんが面白そうに外を見ながら、優雅に紅茶を飲む。
お……、僕のホームでゆっくりとお茶を飲みつつ、外の様子を皆で見ている。
「フォレストヒルの連中は状況が知りたいってっ感じの偵察でござるな。本格的に森の資源を狙っているのはヴォルマインとジャンシーズの面々なんだな」
ガウはもう小窓から顔半分を覗かせている。
彼の性格上、恰好から入るという質らしく、ケリアさんに頼み込んだ様で忍び装束を着こんでいる。そのせいで室内だと言うのに、逆に存在感が増している。
『なんでそんな事が分かるの?』
「プレイヤーだって事はボクでも分かるけど、何処に属しているかを見分けるコツがあるの?」
「そうだよなぁ、装備だって誰もが着ているヤツだし」
ケリアさんとガウがどうやって見分けているのか、サッパリ分からない。
「ふふ、裏技って訳じゃないのよ。イベントで東西南北の何処に属すかを決めないと参加が出来ないって説明があるんだけどね、その所属が服に付いてるのよ」
騎士や剣士の装備している剣や盾にシンボルマークが、
魔導士なんかはアクセサリーや帽子なんかにマークがある。
でも僕らはシンボルマークなんて作った事は無い。
何時の間にそんなモノが出来ていたんだろう。
「あぁ、今回のイベントで配布されたモノだから、運営から配られたシンボルマークよ。多分、今後は自分達でシンボルマークも弄れるって感じになるんじゃないかしら」
ガウが机の上に世界地図の巻物を広げる。
ヴォルマイン、ハンマ―と鉱山が描かれたマーク。
フォレストヒル、大きな大樹に歯車が囲う感じだ。
ジャンシーズ、宝石の装飾が施されたゴンドラと大きな屋敷の絵。
そしてグランスコートは、人とモンスターが背中合わせでお互いの武器をクロスさせて、互いに守る様な感じで描かれている。
「出て来た情報では、東西南北の島が合わさった特殊フィールド。自陣は第一村、つまりはピースガーデンから一番近い村になる。敵陣地はグランスコートなら、一番近い森ね。
ヴォルマインは【ファスト】って坑道。
ジャンシーズは【リヴ】って湿地帯の川辺。
フォレストヒルは【ジグル】って初級ダンジョンよ」
敵地の攻略度に応じて区画ポイントが手に入る仕組みになっているようだ。
「偵察って何を調べてるのさ?」
「出てくるモンスターの種族や数でござるよ。大体は種族で弱点が予想できるんだな」
なるほどね、後はフィールドの把握もあるだろうね。
『自陣がやられたら、どうなるのかな?』
「そこに属している全ての者は一定時間の行動不能だってよ。村が壊れたら、その被害はそのまま、イベント前に戻る事はないらしい」
ちゃんと自陣を守らないと被害や損失があるって事だ。
防衛を疎かにして、敵陣地を取りに行っても良い事はなさそうだね。被害を出せば村人達からの信頼も一気に下がりそう。
「俺達はどうする? 戦力的にも他の場所を狙うって選択肢は無いけどさ」
「どのくらいの人が集まるかって言うのも、全然分からないんだし。コツコツとやってくしかないんじゃない? ボク等の味方を増やしていかないとね」
『シュネーの意見に賛成かな。今はこの集落の人達と仲良くなる事から始めよう』
フラフラ飛び回っているシュネーが嬉しそうにニヤついて、「だよねだよね」と腕組みしながら何度も頷いている。
「それじゃあ、前に言ってた解体屋の人に会いに行きましょうよ」
ケリアさんの声が少し上ずって聞こえた。
なめし皮や毛皮が狙いだろうね。腕の良い解体屋なら革製品も質が上がるらしい。
「今度はどんな人だろうな」
「変り者って話は、ボウガさんやイーゴさんに聞いたけどね」
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