第165話 3日目?-閑話

ケ「まさか、ジルフィール様までが倒されてしまっていたなんて……。」




事態の急変から、あたちの封印もいつ解いても良いことになった。しかし、女神ランクⅠのジルフィール様や、下級神のサンガ様まで倒されてしまっている。それに、ドラゴンの星に居たアスタロスも、強さで言ったらラヴィ様をも上回るだろう。それに、ダンジョン内ですら女神ランクⅠ相当のグレシルが現れたらしい。




この混乱に乗じて、他の次元でも悪魔の反乱がおきているらしく、他の次元に自由に渡れる最高神様が出向いて行った。アヌビスが他の次元からこちらに来られたのは、すでに開通している次元の隙間を通ってきているからであって、本来は上級女神であっても次元を簡単に渡ることは出来ない。……そういえば、簡単に渡りそうなやつに心当たりがあった。ラヴィ様の上司であったヴェリーヌ。頭抜けた空間操作のセンスを持っていて、実際このダンジョンに仕掛けられた空間の亀裂もヴェリーヌの仕業だった。




ラ「さらに悪い知らせがあるわ。神界への侵入を許し、魔界から持ち帰った謎の黒いコアを奪われたらしいわ。幸い、上級神のマリア様が居合わせたおかげで、何体かの悪魔を討ち取ったらしいわ。はじまる様の不在をわざわざ狙ってきたわね。」




神界はそもそも許可の無いものは入れない。入口は複数あるが、そのどれもが上級女神か、それ以上の神が守っている。このダンジョンの神界の入口は、普段であればラヴィ様、はじまる様、裏切っていなければヴェリーヌが守っていた。それを、はじまる様が不在で、ラヴィ様の手が回らず、ヴェリーヌが裏切った……いや、最初から敵だったのだろうが、そのせいで入口の守りが薄くなってしまった。




しかし、神界へ行っても、神界に居るのは基本的に下級神以上のランク、それも言っては悪いが、引きこもりか重要なポストについている神ばかりで、ほぼ誰が居るのか分かっている者ばかりだ。その暗殺でなければ、目的は黒いコアを奪う事だけだったのか?




ケ「しかし、マリア様が居て逃げられたのですか?」




ラ「用意周到に逃走経路を確保してあったらしいわ。普段であれば、神界から出るのも許可が無いといけないのだけれど、このダンジョンの神界への入口が、時間をかけて細工したヴェリーヌによって、神界からもこちらからも出入りが自由になってしまっていたのよ。今はもう自由には出入りできないけれど、何の慰めにもならないわね。」




ケ「それで、結局何のコアだったのですか?」




ラ「マリア様が解析していたのだけれど、結局は分からないままだったわ。ただ、敵が危険を冒してでも回収したのだから、ろくでもない物であることは確かね。」




ケ「本当に、邪神のコアだったのでしょうか……。」




ラ「はじまる様ですら分からないって言っていたのだから、今更どうしようもないわね。取り返すにしても、今どこにあるのか分からないわ。悪魔の本拠地は分かっているから、まずはそこへの調査かしらね。」




ケ「魔界……ですか。総力戦になりますね。」




ラ「時間が無いせいで、こちらの戦力としては上級神のマリア様、中級神は参加不可能、下級神は一人か二人来られればいいということころね。」




ケ「マリア様が動かれると、逆に世界が心配になりますが……。」




ラ「やりすぎなければ良いのだけれど……。」







ヴェ「封印を解かれる前に回収してよかったのですか? すでに細工もバレ、神界への出入りは不可能になってしまいましたが。」




ベ「予定外に良いものが手に入ったからな。あやつの復活後の逃走の手伝いをする必要も無くなった。代わりに、コアを回収する事になったが、それほど重要視されていなかったのか守りは厳重ではなかったな。」




ヴェ「神界に出入りする者は限られていますし、常に居るであろう神たちの場所を踏まえて逃走経路を細工しましたので。」




ベ「本当によくやってくれた。あとは、メィルから力を抜き、このコアに移すだけだ。そう簡単に移すことはできぬだろう。しばらく女神共の相手は任せるぞ。」




ヴェ「はい、お任せください。上級魔族も徐々に揃い、中級魔族に関しては女神ランクⅡのコアも手に入りましたのでいつでも蘇生できます。下級魔族に関しては、逆にほぼ倒されてしまいましたが、今となればいくらでも複製すら可能になっていますので不安要素はありません。」




ベ「よし、私はル—―こやつの復活に全力を注ぐ。任せたぞ。」




ヴェ「はい。」




ベルゼブブ様はそうおっしゃられた後、魔界へ転移していった。こちらの今の主戦力……上級魔族(女神ランクⅠ相当)はアスタロス、私、グレシル。コアさえあればソンネイロンも蘇生できるのだけど、あいつは好きじゃないからどうでもいいわ。




次に戦力となる中級魔族(女神ランクⅡ~Ⅲ相当)は、カールー、オエイレット、ロキエル、ウリエル。カリヴィアンのコアを使ってカールーを、ドラゴンの星で手に入った女神ランクⅡのコアでオエイレットとウリエルを蘇生したわ。




逆に、回収の間に合わなかったベリアスとオリヴィエ、ルバートは倒されてしまったけれど、この程度の戦力ならいつでも擬似コアで行けるわね。下級魔族(女神ランクⅣ以下)のデーモンやメデューサレベルに至っては、居ても居なくてもどちらでもいいから、これも擬似コアでいいわね。それに、こちらにはサンガのコアがある。私やベルゼブブ様ですら使用できないけれど、あの方が復活されれば最上級魔族(下級神相当)のどなたかが復活されるわね。




さあ、準備が整いつつあるわ。全宇宙を我ら魔族の物に!

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