第131話 ドラゴンの星調査再び
零達と別れたラヴィ、ワルキューレ、ケルベロの3人は、再びドラゴンの星へ向かう事になっていた
ラ「準備はいいかしら?」
ケ「いつでも大丈夫です。」
ワ「私も大丈夫です。しかし、我々が行っても大丈夫なのですか?」
ラ「それを確認しに行くのよ。」
すでに調査隊が行方不明になったことが伝えられている。女神ランクⅡが2人と女神ランクⅠが1人。戦力的に言えば、よっぽど調査隊の方がラヴィ達3人よりも強いだろう。さらに言うならば、女神ランクⅡの2人はランクⅡの中では頂点とも言える強さの2人だった。女神ランクⅠのジルフィールは、相性はともかく、単なる殴り合いであればジルフィールの方がかなり上だった。それこそ、邪神カイザーですら安全に倒せる程の実力者だったのだ。
ラ「一応、上には救援要請はしてあるけれど、状況が状況だけに素直に救援が来るとは全く思えないわね。」
女神たちの行方不明は、多次元に渡り起こっていた。そして、その調査のために上位の神が向かって
いる。下手に中途半端な実力を持つ者を送っても、ミイラ取りがミイラにになる未来しか見えないからだ。よって、調査には最低でも女神ランクⅠの実力者しか選ばれていない。しかし、女神ランクⅠの管轄は広いため、急に行けと言われて行けるものでは無い。また、それ以上の神となると言うまでもない。
ラ「一応、緊急事態があった時の用意はしてあるけれど……あんまりあてにはしないで。」
ケ「分かりました。」
ワ「分かりたくないけれど分かりました……。」
ケルベロは真摯に、ワルキューレはしぶしぶ了承する。そして、いまだに結界が張られているためダンジョン経由でドラゴンの星へ向かう。
ワ「変わったところはありませんね。」
ケ「まだ入り口に着いたばっかりじゃねーか。」
すでに逃げ腰なワルキューレに、ケルベロは呆れている。慎重に調査を進め、戦闘跡と思われる場所に着いた。
ラ「こんなあからさまに調べてくださいと言わんばかりの場所を用意されてもね……。」
ケ「時空間魔法での痕跡消しが行われてすらいませんね。」
ワ「隠す気が無いのでしょうか。」
ヴェ「飛んで火にいる……と、誰かと思えばラヴィか。」
ラ「ヴェリーヌ! あなたがこの事件の黒幕なの?」
ヴェ「なんであなたに答えなくちゃならないワケ? まあ、丁度いいわ。さっきいいものが手に入ったのよ。」
ヴェリーヌはそう言ってアイテムボックスからコアを取り出す。そのコアは真っ黒で、3つある。
ヴェ「蘇生! カールー、オエイレット。こいつはあんまり呼びたくなかったのだけど……ソンネイロン。」
カ「ふんっ、やっと復活か。」
オ「お久しぶりです、ヴェリーヌ様。」
ソ「あぁああぁぁぁ、殺す殺す殺す。殺す!」
カールー(悪魔):HP10億、MP7億、攻撃力6千万、防御力2千万、素早さ8千万、魔力1千万、スキル:???
オエイレット(悪魔):HP6億、MP3億、攻撃力1千万、防御力1千万、素早さ4千万、魔力7千万、スキル:???
ソンネイロン(悪魔):HP50億、MP45億、攻撃力2億、防御力1億、素早さ2億、魔力2億、スキル:???、
ステータス補正:攻撃力2倍、防御力2倍、素早さ2倍、魔力2倍
ソンネイロンは復活すると同時にラヴィに殴りかかっていった。しかし、ステータス自体はすべてラヴィの方が上回っているため、その攻撃がラヴィに当たることは無かった。
ヴェ「ソンネイロン、ちょっとは落ち着くワケ。というか、落ち着かないと消すわよ。」
ヴェリーヌの言葉に、「殺す殺す!」とラヴィに殴りかかっていたソンネイロンはピタリと動きを止めてヴェリーヌの側に戻ってきた。
ヴェ「ちっ、やっぱりグレシルの方に使えばよかったかしらね。……でも、あいつ汚くて嫌いだし、アスタロスの方は私じゃ蘇生できないし。」
ヴェリーヌはぶつぶつと呟く。
ワ「なんですか、あれは!」
ラ「ヴェリーヌが悪魔を蘇生させたのよ。ステータス的に女神ランクⅡ相当が2人に女神ランクⅠ相当が1人ね……まさか!」
ヴェ「そのマサカなワケ。」
ワ「どういうことですか?」
ワルキューレは意味が分かっていないらしく、ラヴィに問いかける。しかし、ラヴィはラヴィでそれを口にしたく無いのか、黙っている。
ヴェ「ちっ、頭の悪いやつも居るのね。蘇生に使ったコアは、エリエル、ルニエル、そしてジルフィールのコアなワケ。」
ケ「馬鹿な! ジルフィール様がそんな簡単に負けるわけが無い!」
ヴェ「うるさい犬ね。これが何か分かるワケ?」
ヴェリーヌはそう言うと、アイテムボックスから女神の剣を取り出す。
ケ「それは、ジルフィール様の剣……。」
ヴェ「あの子にはもったいないから、私が貰ったワケ。」
ソ「ああぁぁあ! 早く殺らせろ! 早く!」
ソンネイロンが我慢できなくなったのか、また叫びだす。それに辟易したのか、ヴェリーヌはソンネイロンを無視する。
ヴェ「私は忙しいから、あなた達に任せるワケ。じゃね。」
ヴェリーヌはそう言うと、転移していった。それを戦闘の了承と捉えたソンネイロンはさっそくラヴィに向かっていく。
オ「どうしますか? カールー、どっちと戦いたいですか?」
カ「そうじゃのう、ワシは犬っころの方をやろうかのう。」
オ「どちらにしても、すぐ終わってしまいそうですが。クスクス。」
オエイレットはワルキューレとケルベロを見て邪悪な笑みで笑う。カールーにしても雑魚だと思っているのか、気が乗らないようで首をコキコキと鳴らしているが、戦う様子はない。
ソ「くそ、この、ウサギ野郎! 逃げるんじゃねえよ!」
ラ「誰がウサギ野郎よ、このハゲ。」
ソ「ハゲてねーわ!」
見た目としては、オエイレットはワルキューレに近い騎士の様な格好をしている長身の女性で、顔はまじめにしていれば美女だが、どこか邪悪さがにじみ出る様な雰囲気がある。カールーの方はずんぐりとしたドワーフの様なおじいさんで、白い髭と白髪が年を感じさせるが、上半身裸の肉体には若々しい筋肉が張っている。ソンネイロンは、ラヴィにハゲと言われたが、頭髪は頭の真ん中にはあり、俗にいうモヒカンである。全身がひょろりとしたチンピラ風であり、むしろ似合っていると言えるだろう。
ワ「どどど、どうしましょうかケルベロ様!」
ケ「さっそくだが、緊急事態対応になりそうだな。」
ワ「私はそれが何か聞いて居ないのですが!?」
そういうワルキューレに対して、ケルベロはアイテムを2つアイテムボックスから取り出して渡す。
ケ「それをつけてな。」
ワ「これは、死者の杖と死者の衣?!」
死者の杖は物理無効化、死者の衣は魔法無効化をしてくれるイルナが元々持っていた神装備だ。本来はネクロマンサーの様に死に通じる者で無ければ装備出来ないが、女神であれば装備できる。それらを慌ててワルキューレは身に着ける。
ワ「ケルベロ様はどうするのですか? 相手は女神ランクⅡ相当ですよ!」
ケ「……許可が下りている。あたちはこの首輪を外すぜ。」
ケルベロが首輪を外す。ケルベロは本来の強さである女神ランクⅡに戻る。さらに、封印されていたいくつかのスキルも元に戻る。昔、ケルベロが暴れすぎた罰として首輪を着けられてステータスを制限されており、普段は勝手に外すことは許されていない。
ケルベロ(女神Ⅱ):HP5億、MP3億、攻撃力2700万、防御力1680万、素早さ7770万、魔力1190万、スキル???、ステータス補正:攻撃力2倍、防御力2倍、素早さ2倍、魔力2倍
ケ「まあ、これでもあいつ相手にゃ、余裕とはいかねーがな。」
ケルベロはカールーを見上げて睨みつけるが、カールーにとっても弱い者いじめから対等に近い相手となってどことなく嬉しそうだ。
オ「私の相手だけ弱いままなのね……。」
オエイレットは残念そうな顔をしてワルキューレを見る。
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