第115話 閑話 ワルキューレの魔界調査3

ワ「ラヴィ様、あれは何ですか!? 」





私はラヴィ様に説明を求める。正直、物理攻撃は反射され、魔法攻撃はダメージを反射され、直接攻撃が当たったとしてもラヴィ様の攻撃すら0ダメージにするスキルがある。さらに、あんなに巨大なゴーレムが現れるとなると、私にはどうしようもないように思える。それに、あの金色の輝きは先ほどラヴィ様の攻撃を受けた時の盾と同じオーラじゃないか?





ラ「召喚されてしまったわね。あの巨兵はイージスと言ってすべてのダメージを0にするオーラを纏っているのよ。」


ワ「そんな!? それでは無敵ではないですか!」


ラ「そう、無敵なのよ。私でもイージスを倒すのは不可能よ。見てなさい?」





ラヴィ様がカードをイージスに投げる。スキル無効を無効化、スキル効果により、イージスに0ダメージ。


まさか、スキル無効化すら持っているラヴィ様ですら破壊不可能なゴーレムとは・・・。私は絶望の眼差しでイージスを見る。イージスは主人を守るようにサザラントの前に立ちふさがった。





サ「どうした? かかってこないのか?」





サザラントが挑発してくるので、試しに闇の球をイージスを避けて撃ちだす。しかし、イージスはサザラントに当たる前に自らの手で防ぐ。スキル効果により、イージスに0ダメージ。





サ「どうだ? 手も足も出まい! さっさと降参したらどうだ?」





確かにこちらの攻撃は効かないが、向こうから攻撃してくる様子も無い。





ワ「あの、ラヴィ様? イージスは何をしているんですか?」


ラ「何って見ればわかるでしょう? 召喚した主人を守っているのよ。」


ワ「それは分かるのですが、何故攻撃してこないのでしょうか?」


ラ「イージスの攻撃力は0よ。自分の攻撃すら無効化してしまうのよね。だから、女神の間ではイージスを召喚する者は居ないわ。意味が無いもの。こちらから攻撃しなければ、なにもされないわ。それに、鑑定でサザラントを見てみなさい。」





ラヴィ様に言われる通りにサザラントを鑑定する。MPが50万・・40万・・30万・・ものすごく減るのが早い。





サ「どうした!? もう終わりか?! 早く降参しろ!」





サザラントは焦ったように降伏を進めてくる。しかし、私達が傍観していると、サザラントのMPが0になり、イージスは砂の様になって崩れ去った。





サ「・・・降参だ。好きにしろ。」





MPが切れたサザラントは、もう何のスキルを使う事もでき無いようで諦めたようだ。こうなることが分かっていたのに使ったのか?





ラ「MP自動回復を持っている女神なら無限に使えるけれど、自分も攻撃できないのよね。あなたみたいに反射されない限りはね?」





それは申し訳ありません! もう2度と同じ過ちは繰り返すまい。しかし、素のステータスでも私ではサザラントを倒すのに時間がかかりそうだ。





ラ「私がやるわ。」





ラヴィ様が諦めて膝をついているサザラントにカードを投げる。クリティカル発生、サザラントに1949744000ダメージ。サザラントはコアになった。しかし、この騒ぎに気づいたようで、他の四天王が着てしまったようだ。私は鑑定で調べていく。





一人は、長い金髪を風になびかせて、綺麗な装飾で彩られたミスリル製の鎧を着て、同じくミスリルで作られた剣を携えている綺麗な女性だ。





クレティア(四天王):HP1600000、MP600000、攻撃力120000、防御力80000、素早さ80000、魔力160000、装備:ミスリルの剣・攻撃力10000、ミスリルの鎧・防御力10000、スキル:偽剣術(10)





一人は、真っ白なローブを着て豪華な杖を構えている、耳がとがり、緑色の髪をツインテールにしている小さな女性だ。





ミリア(四天王):HP2560000、MP608000、攻撃力80000、防御力80000、素早さ96000、魔力192000、装備:ミスリルの杖・魔力10000、ミスリルのローブ・魔力10000、スキル:偽魔術(10)





一人は、上半身が裸で下半身だけ鎧を着ている大柄な男性で、両手に付けているナックルをカチンカチンとぶつけて鳴らしている。





ハーフェン(四天王):HP1820000、MP588000、攻撃力210000、防御力84000、素早さ70000、魔力42000、装備:ミスリルのナックル・攻撃力10000、ミスリルの鎧・防御力10000、スキル:偽格闘術(10)





ク「これは・・・サザラントが居ないわね?」


ハ「まさか、やられちまったのか? まあ、あいつは防御ばっかりで攻撃手段がねーからな。四天王最弱じゃないのか?」


ミ「キャハハ、最弱、最弱~。」





クレティアが現状を理解し、ハーフェンがサザラントを馬鹿にする。ミリアはそれを楽しんでいるようだ。





ラ「これは、あなただけでは厳しそうね?」


ワ「む、むむむ無理です!」





サザラントと同格の3人を同時に相手するなど不可能だ。サザラント一人にすら苦戦するというのに。





ラ「仕方ないわね、はじまる様から許可は得ているわ。これを使いなさい。」





ラヴィ様が黒いコアを放ってきた。私は慌ててキャッチする。





ワ「これは?」


ラ「ルバートのコアよ。デーモンの時と同様に使ってみなさい。」


ハ「何をする気だ?」


ミ「よくわかんないけど邪魔しちゃお! いいよね? メテオインパクト!」


ク「馬鹿ミリア! こんなところでそんな魔法使わないでよ!?」





ミリアの土魔法によって巨大な隕石が上空に現れる。私は、慌ててルバートのコアを砕いた。





ミ「どっかーん!」





大質量の隕石が私にぶつかり、辺り一帯に隕石の破片が飛び散る。ワルキューレに0ダメージ。





ク「くっ、これじゃあ何も見えないじゃない!」


ハ「ぐはははは、豪快だな! 俺は好きだぞ!」


ミ「別にあんたに好かれたくも無いけどねー。」


ク「とりあえず、散らすわよ。合わせなさい、ハーフェン。」


ハ「おう、分かったぞ。」


ク・ハ「ショック・ウェーブ!」





クレティアは地面に剣を刺し、ハーフェンは地面を拳で叩くと、付近に衝撃波が走り、砂ぼこりを散らす。





ミ「もう、もっと綺麗にしてよ! 操風そうふう!」





最後にミリアが風魔法で吹き飛ばす。





ク「・・・ありえないわ。」


ハ「はっ、そう来なくてはな。」


ミ「むー!」





クレティアは愕然とし、ハーフェンは獰猛に口角を上げ、ミリアはふくれる。私はそれを見ながら、自分を鑑定する。





ワルキューレ(女神Ⅲ):HP6500000、MP5000000、攻撃力600000、防御力300000、素早さ800000、魔力1000000、装備:神槍・攻撃力70万、神装・防御力60万、スキル:透明化、千里眼、異世界召喚、蘇生、物理耐性(大)、魔法耐性(大)、HP自動回復(大)、MP自動回復(特大)、飛行、転移魔法、空間魔法(6)、時空魔法、闇魔法(8)、光魔法(9)、血魔法(7)





ワ「私が、女神ランクⅢ・・・。」


ラ「そうね。おめでとう。」





ラヴィ様が素直に祝福してくれる。ステータス的にはケルベロ様の5分の1ほどしか無いし、スキルも全然足りないが、MP自動回復は大から特大になり、空間魔法、闇魔法、光魔法、血魔法が1ずつ上がっている。また、神装備が大幅に強くなっている。





ク「一気に畳みかけるわよ!」


ハ「いいぜ!」


ミ「うん!」


ク「エクスカリバー召喚!」


ハ「ゼロ・インパクト!」


ミ「水神召喚!」





クレティアの手には何でも切裂ける剣が召喚され、ハーフェンはどこに居ようとも瞬時に必ず当たる攻撃をし、ミリアは触れるものすべてを超水圧で切り刻む水の龍を作り出す。まず、ハーフェンの攻撃が私に当たり、体の中から衝撃が来る。クリティカル発生、ワルキューレに220000ダメージ。さすがに体内の攻撃は防げず、クリティカルダメージを受けてしまうが、この程度のダメージなら1分で回復する。





ク「食らいなさい! 防御無視の攻撃、ペネトレート!」





クレティアのエクスカリバーが私の腹に突き刺さる。防御無視、貫通、クリティカル発生、286000ダメージ。技自体は装備の防御力を無視し、エクスカリバーは私自身の防御力を無視するようだが、先ほどと同様にこの程度のダメージはすぐに回復するだろう。





ミ「どいて! いけ、水龍!」





ミリアの声ですぐに飛び離れたクレティアの横を通り、私に水の龍が向かってくる。巨大な水龍は私を飲み込もうと口を開ける。





ワ「光の壁。」





仮に水龍を受けてもダメージは0だが、濡れるのが嫌なので光の壁で防ぐ。壁に当たった水龍は潰れるようにぶつかり、そのままただの水となって辺りを濡らすだけに終わった。





ミ「こんなの無理よ! 樹海!」





ミリアはあっさりと私を倒すことをあきらめたようで、木魔法を唱えると、辺り一面が木で埋め尽くされ、四天王がどこに居るのか分からなくなった。





ワ「神槍・グングニル!」





私の槍はその木々をあっさりと貫通し、自動で辺りの敵を攻撃する。


クリティカル発生、クレティアに2752000ダメージ。クリティカル発生、ミリアに2765000ダメージ。クリティカル発生、ハーフェンに2747200ダメージ。ラヴィに0ダメージ。四天王の3人はコアになった。そして、ミリアが発生させた樹海も消滅する。・・・そして、グングニルの槍先を指で挟んでいるラヴィ様が見えた。





ラ「・・・いい度胸ね?」


ワ「も、申し訳ありません!」





私は、槍の扱いに慣れることを第一目標にする事にした。

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