第70話 ダンジョン攻略12日目

レ「ふあぁ、おはよう。」





目が覚めると、闇の壁で覆われていた。ワルキューレもいつの間にか帰ってきていたらしい。





ア「おはようなのじゃ!」





壁の上から、アヌビスが顔を出して返事をした。





レ「アヌビス、どこで寝てたんだ?」


ア「弥生と、イルナと一緒に寝たぞ!」





アヌビスがそう言うと、ワルキューレは俺が起きたのに気付いたのか、闇の壁を解除した。





ワ「おはよう、零殿。」


レ「おはよう、ワルキューレ、弥生、イルナ」


ヤ「おはようございます!」


イ「・・・おはようございます」





イルナはまだ眠そうだが、メイド服には着替えている。俺も小部屋に戻ってさっさと着替えるか。着替えた後、洗面台に行き、ひげをそって歯磨きをした。その後、軽く体操をして、ご飯を食べることにする。今日は、アヌビス以外は全員和食にした。ワルキューレも付き合いで和食にしたが、いまさらながら、意外にも箸を使えるんだな。イルナはパラレルワールドの日本みたいなもので、もともと箸を使っていたらしい。





ワ「それで、昨日の事だが・・・。」





ワルキューレが言うには、今後も悪魔の襲撃が予想されるため、悪魔が現れた場合には、限定的に神装の開放や、ラヴィ様分身による護衛などで対処してくれるので、安心してダンジョン攻略に励んで欲しいという事だった。





レ「じゃあ、今日は6階クリアを目指してがんばるか。」





朝食で使った食器を片付けて、歯磨きを終えると、メィルを呼び出してイルナの登録を行う。





メ「これでいいよ!」





イルナが淡く光ると、登録が終わったらしい。こんなにすぐに終わるなら、昨日のうちにやっておけばよかったな。イルナにコアを渡す。イルナはそれを砕いていき、ステータスを確認する。





イルナ(人間):HP10000、MP1500、攻撃力10、防御力10、素早さ310、魔力170、スキル:ネクロマンシー、呪術、装備:腕輪・防御力50、指輪・防御力50





イ「・・・新しいスキル、増えた。」


レ「へぇ、どんなスキルだ?」


イ「・・・呪術、魔法とは違うみたい。」





魔法の様にランクがあるわけではなく、ネクロマンサーの素質としての延長上のスキルみたいだ。





レ「どんなことが出来る?」


イ「・・・たとえば、幻痛」


レ「いたたたた! 痛い、マジで痛い!」





イルナが解除すると、痛かったのが嘘だったように無くなった。この世界に来てから、痛みを感じたのは初めてかもしれないな。





レ「ダメージは無いが、痛みだけがあるスキルか。」


イ「・・・使えそうな呪術の名前だけが、頭の中にうかぶ感じ。HPドレイン付与、幻痛、デバフ、ダメージリンク、幽体離脱、獣化、毒の霧、リッチ化・・・かな?」





自分でもよく分からないのか、断定的ではない。





レ「その辺は、実際にダンジョンで使って試してみようか。大体名前で分かりそうだが。」


ヤ「それじゃあ、準備が出来た人から出発です!」





俺達は素早さが上がったおかげか、大分移動速度が速くなった。今の俺達が地球に行ったら「何! 消えただと!」ってやれると思う。弥生は普通にスキルで消えれるが。





俺達がダンジョンに着くと、フロントに居たラヴィ様に「何かあったら呼んでください。」と言われ、俺達は6階に向かう。ガーゴイル、キメラあたりは結構出るのでサクサク倒し、たまに出るグリフォンとブラッドサキュバスは連携して倒す。魅了を使ってきたのはカリヴィアンが憑依していたからだろうか、普通のブラッドサキュバスは血魔法を使うだけのようだ。





そろそろ6階もクリアと言うところで、火で包まれた鳥が飛んできた。フェニックスか! 弥生が鑑定する。





ヒノトリ(不死):HP50000、MP5000、攻撃力1500、防御力1500、素早さ1000、魔力1000、スキル:飛行、自動蘇生、火魔法(9)、MP自動回復(大)





ヤ「この鳥、倒せないんじゃないですか?」


レ「ワルキューレ、自動蘇生ってなんだ?」


ワ「見たことは無いが、おそらく死ぬと蘇生が使われるのだろう。蘇生のMPは1000だから、MP自動回復(大)で回復する前に5回倒せばいいのではないか?」


レ「いいのではないか?って無理だろ!」





アヌビスの魔法ですら数百発要るんだぞ。アヌビスのMPが切れる方が早い。俺達の攻撃力じゃ、たとえ当たったとしてもダメージが与えられないのではないか。





イ「・・・呼んでる・・・?」





イルナがふらふらとヒノトリの方へ歩いて行った。すると、ヒノトリがイルナに体当たりする。





ヤ「イルナちゃん!」





弥生が飛び出しかけるが、様子がおかしい。





イ「・・・憑依、みたい。」





イルナは、まるで火の衣をまとったようになった。そして、だんだんと火が収まると、イルナの中に吸い込まれていった。





イ「・・・この子、手伝ってくれるって。」





ヒノトリゲットだぜ! っていいのか、これ。


・・・階層ヌシが現れないところを見ると、これはズルにならないのか、こいつがヌシだったのかのどちらかだな。





レ「よし、とりあえず6階をクリアしておいて、イルナのスキルを試してみようか。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る