第68話 グリフォン

しばらく探索すると、「クエェェェ」と言う鳴き声とともに、新たなモンスターが飛んできた。これは俺も知っている、グリフォンだ。弥生はグリフォンの攻撃を避けて鑑定をする。





グリフォン(合成獣):HP6000、MP2600、攻撃力600、防御力300、素早さ500、魔力600、スキル:飛行、MP自動回復(大)、風魔法(7)





グリフォンは、いきなり巨大な竜巻を起こし、通路全体に攻撃してきた。零に350ダメージ。弥生に400ダメージ。イルナに590ダメージ。アヌビスに0ダメージ。メィルに150ダメージ。ラヴィに0ダメージ。





メ「あぶなっ、私、退避するね!」





メィルはそう言って、壁の向こうに隠れた。この攻撃には、もともと回避主体でHPも少ない弥生もきつそうだ。





ア「むむむっ、あと闇魔法があと1ランクあれば闇の壁が使えるんじゃが。」





闇の壁というと、魔法防御の壁か。ちらりとラヴィ様を見ると、「これですか?」と自分に張ってみせた。





レ「イルナ、スペクターで防げ!」


イ「・・・わかった。」





イルナはネクロマンシーを使うと、スペクターを召喚し、風魔法を防いだ。スペクターに200ダメージ。





レ「飛行が厄介だな。一方的に攻撃される。」


ヤ「私に任せてください!」





弥生は、手裏剣を棒手裏剣に変化させ直すと、投擲武器操作でグリフォンに投げた。





ヤ「こいつの弱点はきっとキメラと同じです!」





そう言うと、棒手裏剣はグリフォンのお尻の穴にズブッと入った。クリティカル発生、グリフォンに2127ダメージ。見ているこっちの方が痛く感じるが、この世界ではダメージ判定としか扱われないので苦しむという事は無い。しかし、お尻の中に違和感があるようで、徐々に低空飛行になってきた。





レ「今だ!」





俺は攻撃特化型零ゾンビをグリフォンに飛び掛からせると、物量で押しつぶす。





ア「真闇!」





アヌビスがサポートに真闇を使ってくれたおかげで、ゾンビの攻撃が全てクリティカルになる。クリティカル発生、グリフォンに520ダメージ×8。グリフォンはコアになった。





レ「そこそこ強いモンスターにも勝てるようになってきたな!」


ヤ「そうですね、コアも結構たまってきたので、ステータスをあげますか?」


レ「イルナも使うか?」


ラ「試験対象者以外は、コアを使っても経験を得ることはできません。」


イ「・・・残念。私、強くなれない?」


ラ「あとで登録することにしますか?メィル?」


メ「はい!よろしくお願いします!」





メィルはピンと背筋を伸ばしてハキハキと返事する。ラヴィ様に逆らうというルートは無い。


ダンジョンを出てからメィルにビジネスホテルの前まで転移してもらう。メィルとラヴィ様は俺達がホテルに入るのを見た後転移していった。俺達はイルナの分を残して、コアを使うことにした。格上だからか、結構ステータスがあがった。





源零:HP2513、MP1760、攻撃力310、防御力550、素早さ350、魔力300、スキル:分裂、MP自動回復(小)、装備:スラタン(刀)・攻撃力130、スラコート・防御力100





形無弥生:HP1792、MP2180、攻撃力850、防御力250、素早さ550+385、魔力330、スキル:変化、投擲術(8)、空間魔法(5)、透明化、装備:スラクナイ・攻撃力120、スラ手裏剣・攻撃力100、スラマフラー・防御力100、忍者服・防御力5





レ「ついでに、増えたMPでアヌビスも作り直すか。」


ア「よろしく頼むのじゃ!」





アヌビス(分裂体):HP5000、MP4550、攻撃力150、防御力500、素早さ780、魔力1200、スキル:闇魔法(6)、MP自動回復(小)、魔法耐性(中)、飛行、千里眼、装備:神杖・魔力1000、聖なる衣・防御力1000





復元したアヌビスは、12歳くらいの姿になり小学校高学年か中学生くらいに見える。ステータスも元の10分の1となっていた。また、闇魔法が1あがり、新たにMP自動回復(小)が増えた、武器、防具の性能が良くなっていた。





ア「ふむ?もともと持っていなかったスキルが付いたのじゃ。」


レ「俺が持ってるスキルだからか?それとも、アヌビスが経験したからか?」


ヤ「私も、投擲を覚えましたし、アヌビスちゃんにはもともと素質があったんですよきっと!」


レ「神装備は自動でサイズが変わるからいいけど、パジャマはもう着れなさそうだな。」





見た感じ、身長が150cmくらいで、バストもBだろう。





ヤ「アヌビスちゃんのブラジャーも要りますね。ケルベロちゃんの所に行きましょう。」


ア「ぶらじゃーとは何じゃ?」


ヤ「胸を守る防具みたいなものです。」


ア「我の服には必要ないのじゃ。」


ヤ「源さんからの視線を防ぐための防具ですから、絶対に要ります。」





そう言うと、弥生はアヌビスを引きずっていった。しばらくして戻ってきたが、思ったよりも神装備は万能の様で、ブラジャーよりよっぽど高性能だったようだ。漫画でも女神様の布は、ふよふよ浮いているようでも絶対に見えないようになっているからな!





ア「じゃあ、零、一緒にお風呂に入るのじゃ!」


ヤ「絶っっっ対にダメです!もう、アヌビスちゃんは子供じゃないんだから!」


ア「会ってから数日しか経っておらぬが?」


ヤ「年齢とかの問題じゃありません!すでに見た目が子供じゃないんです!」


レ「込めるMPを下げれば、また小さいアヌビスになるぞ?」


ヤ「源さんは黙っていてください!エロは絶対に許しません!もう同じ部屋に居るんですから、私がお風呂に入れます!」





そう言うと、弥生はアヌビスとイルナと一緒に風呂に行った。俺、居づらいな。





レ「ちょっとサーベラスと遊んでくる。」


ヤ「どうぞ。鍵は閉めて行ってくださいね!」





俺は部屋に鍵を閉めると、フロントへ向かった。サーベラスと遊んでいると、ケルベロちゃんが来た。





ケ「イルナの様子はどうですかワン?」


レ「ああ、元気だよ。今度からは俺達と一緒にメィルの試験を受ける仲間になる事になった。」


ケ「それはよかったですワン。人間は人間同士仲良くするといいですワン。」


レ「見た目は、ケルベロちゃんもほとんど人間だけどな。」





俺はそう言ってケルベロちゃんを撫でようとしたが、殺気を感じたので、手をサーベラスの頭にのせて撫でた。サーベラスはうれしそうに尻尾を振っている。そうしているうちに、ワルキューレが戻ってきたようだ。それを見たケルベロちゃんは、ワルキューレを連れて行った。





ケ「それでは、おやすみなさいですワン。」


ワ「零殿、また後で。」





俺はしばらくサーベラスにドラゴンの骨を投げて遊んでやった後、部屋に戻った。鍵を開けると、裸の弥生が・・・いるわけもなく、新しい赤色のパジャマを着たアヌビスと、青色のパジャマを着たイルナと、浴衣を止めたのか、黄色のパジャマを着た弥生が居た。





レ「お揃いにしたのか?」


ヤ「はい! せっかくなので、揃えてみました。どうですか?」


レ「ああ、似合ってると思うよ。」





それ以外に言うセリフってほとんど無いよな。アヌビスは飛行して遊び、イルナはぼーっとしている。





レ「じゃあ、俺も風呂に入ってくる。先に飯を食ってていいぞ。」


ヤ「分かりました!」





風呂に入っていると、ご飯を注文したらしく、ケルベロちゃんの声が聞こえるが、語尾にワンが付いていないところを聞くと分身なのだろう。まだワルキューレとの話が終わっていないようだ。





レ「今日の風呂はいい匂いがするな。」





俺はいつもはお湯だけの風呂に入っているが、弥生は何か入浴剤でも入れたのだろうか。





メ「ぷぷぷっ、女の子の匂いを嗅ぐなんて、お兄ちゃんのエッチ!」


レ「・・・お前こそ何で風呂の中に居るんだよ。」


メ「ホテルの中なら、透明化も透過も使えるからね!」


レ「理由になってねーよ!?」





俺はメィルにお湯をかけてやった





メ「何をするの、お兄ちゃん!」





メィルは透過すると、お湯だけがザバッと落ちる。便利だな?





メ「たまには、お兄ちゃんの背中でも流してあげようか?」


レ「・・・何を企んでいる?」


メ「失敬な! 何も企んでなんていないよ! コアが少し欲しいだけだよ!」


レ「下心ありありじゃないか! コアはイルナの分しか残ってないからイルナに聞いてくれ。」


メ「わかった!」





メィルは透過で風呂の壁を貫通して行った。俺が頭を洗っていると、メィルが戻ってきたようだ。





ヤ「頭、かゆいところはありますか?」





耳に水が入って声がよく聞き取れないな。


レ「メィルか? なんだって?」


ヤ「かゆいところはありますか?」


レ「今のところは無いよ。」


ヤ「かゆいところはありますか?」


レ「無いって言ってるだろ。」





俺はそう言って頭を上げると、誰も居なかった。





メ「お兄ちゃん、イルナちゃんは良いって言ってたよ! コア頂戴!」


レ「メィル、何か言ったか?」


メ「え?イルナちゃんが良いって。」


レ「その前だ。」


メ「何も言ってないよ?」


レ「そうか・・・。俺も疲れているようだ。もう寝よう。」





メィルにコアを渡し、俺は風呂を上がると、「いたずら成功です!」そんな声が風呂から聞こえた気がした。俺はビールを飲んで寝た。

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