第31話 ワルキューレとケルベロ

レ「弥生にはこれを渡しておくよ。」




俺は今回MPを使うことが無かったので、ある程度のMPを分裂体の塊で作っておいた。それを装備に変えてもらう。スラタン刀攻撃力50、スラコート防御力20、スラクナイ攻撃力40、スラ手裏剣攻撃力30、スラマフラー防御力20となった。




弥生は、分裂体を指輪と腕輪に変えて身に着けているようだ。服は着慣れている物がいいので、スーツと忍者服は作っていない。分裂体で作るとどうしても固くなって動きづらくなるしな。




ワ「それでは一旦、槍は返してもらおうか。」


レ「ありがとう、助かったよ。」




俺はワルキューレに槍を返すと、ワルキューレは「気にするな。」と言う風に軽く手を振って槍をアイテムボックスにしまう。




レ「俺達はこれからビジネスホテルに行くけど、ワルキューレはどうするんだ?」


ワ「私も一緒にそこへ向かおう。もしどうしても泊まれなかったら自分の空間にでも帰るさ。」




ワルキューレも自分の部屋?空間?を持っているらしいが、今回は同行者という事で、俺達と同じような行動を取りたいらしい。




ヤ「もし、部屋がいっぱいで泊まれなかったら、私と一緒の部屋に泊まりましょう!そして、ゲームしましょう!対戦です!」


ワ「ゲームが何か分からないが、勝負を挑まれたら武人として逃げるわけには行かないな。」




弥生とワルキューレは、和気あいあいとしている。俺達がエレベーターからフロントへ向かうと、17時を過ぎたからか、今はフロントに誰も居ないようだ。まあ、用は無いから別に今はいいか。ビジネスホテルに着き、フロントに向かう。




途中、サーベラスに骨型の分裂体を与えると、一瞬で噛み砕かれた。攻撃力高すぎる・・・。




ケ「おかえりなさいませワン。」




ケルベロちゃんは丁寧にお辞儀をすると、見慣れない人物が居るなとワルキューレをチラッと見た。




レ「ケルベロちゃん、今日は一人増えるんだけど、泊まれるか?」




俺は大丈夫だろうと思いつつ一応聞いてみた。他に泊まってるやつを見たことがないからな。




ワ「私はワルキューレと言うものだ、部屋を用意してもらいたい。」




ワルキューレは泊まる前提で聞く。さっき言ってたことと違い、泊まれなかったら他の客を追い出せと言わんばかりのセリフだ。




ケ「希望のお部屋はありますかワン?」




ワルキューレの言葉の威圧に、ケルベロちゃんは気にせず淡々と対応する。




ワ「この者たちと近くの部屋、もし近くの部屋が空いてなければ弥生殿と同室でお願いしたい。」


ケ「分かりましたワン、102号室の隣の103号室でよろしいですかワン?」


ワ「弥生殿の隣の部屋か、ならばそこで良い。」




ワルキューレは103号室の鍵を。俺達はいつもの部屋の鍵を受け取ると部屋に向かった。




レ「ワルキューレはケルベロちゃんには普通に接するんだな?」




俺としたら、格上なのにいいのか?という意味で聞いたのだが。




ワ「はははっ、私は女神だぞ?見習いだからとやたらに馬鹿にすることは無い。」


ヤ「ケルベロちゃんは女神ランクⅢらしいですよ?」


ワ「え・・?零殿が「ちゃん」付けで呼んでいるからてっきり見習いかと・・。」


レ「本人がそう呼んで欲しいって言うからな。メィルは最初に馬鹿にして現在もロックオン中だ。」


ワ「わ、私は馬鹿にしていないからセーフだよ・・な?」


ヤ「ちょっと待っててくださいね。確認してきます。」




そう言うと弥生はフロントに向かって走って行った。




ヤ「ケルベロちゃんにお願いして鑑定させてもらってきました!」




ケルベロ(女神Ⅲ):HP5千万、MP3千万、攻撃力270万、防御力168万、素早さ777万、魔力119万、スキル???




ワ「偉そうにしてすみませんでした!」




ワルキューレは一瞬でフロントに行くとケルベロちゃんに土下座した。




ケ「今はお客様なので、大丈夫ですワン。」




ケルベロちゃんはにっこりとほほ笑む。今はって言ったな、今はって。




ワ「申し訳ありません!今後気を付けますのでご容赦下さい!お近づきにドラゴンの骨をどうぞ!」




ワルキューレはアイテムボックスからドラゴンの骨を取り出した。いや、ドラゴンの骨って贈り物としてどうなんだ?犬扱いして逆に怒らないか?それとも何かの素材にしろという事か?




ケ「メィルと違って馬鹿にはしていないので、気にしないでいいワン。ただ、今後は気を付けてくださいワン?」




ケルベロちゃんの尻尾がフリフリと揺れたので、うれしいようだ。よかったな、ワルキューレ。あ、骨はサーベラスにあげるのか。あれならさすがのサーベラスでも噛み砕けないようだし。




俺達はケルベロちゃんと別れ、再度部屋に向かった。




ワ「ふぅ、冷や汗をかいた。風呂に入りたい。」




ワルキューレは疲れた顔で呟いている。




ヤ「私たちは当然わかりませんが、女神同士でもランクとか強さとか分からないんですか?」


ワ「ランクの高い女神様はスキルで隠ぺいしたりするので、正直スキルを持っていない見習いとかと区別がつかない。ただ、ランクの高い神は少なくとも惑星規模の管理をしているので、そもそも会う事自体ほとんど無いのだ・・。」




それに、「受付とかは見習い以下の女神がやる仕事だしな。」と付け加えた。




ヤ「私たちも、一流芸能人はテレビや雑誌とかで見るから顔も名前も分かりますけど、ちょっと売れた程度の地方芸能人は、ファンじゃない限り一般人と区別がつかないようなものですかね?」


レ「まあ、他社の社長が普通に会社を歩いていても、地位は分からないしな。」




俺達の感覚でもそんな感じだな。ただ、女神の場合は1ランク違うだけでほぼ100%勝てないだろうから、無礼な態度に怒って実力行使に出られるとアウトだろう。ただ、見習いに敬語を使ったりしてもそれはそれでなめられて後々問題にはなりそうだな・・。難しい問題だ。




俺達は神にとっては感覚的に赤ん坊もいいところだから、多少無礼でもきっと赤ん坊のすることだから、と許される気がするから特に敬意を払っていない。そもそも、そこまですら気にされていないかもしれないが。




レ「とりあえず、晩飯でも食うか。」


ヤ「そうですね、私は豪勢にうなぎのかば焼きが食べたいです!」


ワ「私は疲れたので今日はこのまま失礼させてもらう・・。」




ワルキューレは、叱られて落ち込んだ新人会社員みたいに背中を丸めて103号室に入っていった。




レ「俺も今日は弥生と同じ飯にするかな。」




ケルベロちゃんに注文すると、すぐに転移で現れ、「おかもち」からおいしそうな、うなぎのかば焼きが並べられていく。いただきます!




おいしくご飯を頂いた後、食器を片付けていると、メィルが「暇なので遊びに来たよ!」と急に現れた。俺達もどうせ暇なので、トランプをして過ごし、ほどほどの時間になったら解散して、はみがき、風呂を終えて寝た。


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