第17話 ダンジョン攻略3日目

アラームが鳴った。もう6時か。3日目になると慣れてきたのかぐっすりと寝ていたようだ。軽く伸びをして鏡の前に行くと、寝癖を直した。はみがきをしてトイレに行き、スーツに着替えた後、カーテンを開けていると、部屋をノックする音がした。




ヤ「おはようございます!起きていますか?」


レ「おはよう弥生。一応6時には起きるようにしているよ。」




弥生はさっそく朝ごはんを食べましょう!と注文してくる。俺はフロントにコールし、ケルベロちゃんに注文をした。弥生はご飯にみそ汁、生卵、納豆と焼き魚という和食で、昨日より1品増えたな。俺はサンドイッチにコーヒーと軽食を頼んだ。




ケ「おはようございますワン。朝食をお持ちしましたワン。」




相変わらず注文してすぐに表れると、「おかもち」から料理をテーブルに並べて行った。空間から直接出さないのはなんでだろうか?出前の雰囲気重視か?


食器を片付け、ダンジョンに行く準備を済ませ、フロントに行くと俺の作ったケルベロスが見違えていた。存在感が増したというか、近づいただけで冷や汗が出るというか。




レ「あれって昨日のケルベロスだよな?」


ヤ「そうだと思いますけど、明らかに強そうですよね・・。」




弥生にステータスを見てもらう。




サーベラス:HP6666、MP666、攻撃力666、防御力666、素早さ666、魔力666、スキル:メィル追跡




クリティカルならメィルを一撃で倒せるほど強くなっていた。どんなコア食わせたら一晩でこんなに強くなるんだ?むしろこいつ借りていったらダンジョンクリアできるんじゃないか?




レ「ケルベロちゃん、こいつ借りていっていいか?」


ケ「ダメですワン。メィルが来たら噛みつかせるワン。ちなみに今メィルは自宅に居るワン。」


レ「多分今頃悪寒でもしているんじゃないか?ほどほどにして許してやってくれ。」


ケ「考えておきますワン。それでは、今日もいってらっしゃいませワン。」




ケルベロちゃんはお辞儀をして見送ってくれた。俺達はそのままダンジョンに向かい、ラヴィ様に挨拶をすると2階へと足を踏み入れた。




レ「今日は、サポートできる仲間を作ろうと思うんだ。弥生は斥候タイプで、俺は召喚士みたいなタイプだし。戦闘職がいないからな。」


ヤ「そうですね、私たち一般市民には戦闘は厳しいですよね!」


レ「弥生はすでに一般市民より断然強いだろ・・。」




俺はボソッとそう呟くと、イメージを強く持ち、全MPを使用して分裂を唱えた。イメージ通り、イケメン勇者っぽい見た目の18歳くらいの少年を作り出すのに成功した。当然全裸で。




ヤ「きゃーっ!何で全裸なんですか!昨日はちゃんと制御してたのに!」




弥生は俺に向かって手裏剣を投げてきた。零に10ダメージ。




レ「ま、まて!わざとだけどこれには理由があるんだ!」




弥生は顔を真っ赤にしながらうつむき加減で聞いてくる。




ヤ「ど、どういう理由があるんですか?何か拳法とか宗教的な理由ですか?」




後ろを向きながらもじもじしている弥生をみると、少しからかってみたくなった。




レ「弥生の反応が見たくて。」


ヤ「消しますよ?」




弥生は、今までに見たこと無いようなハイライトの消えた目で一瞬にして目の前に現れると、首にクナイを当てて見上げてきた。




レ「じょ、冗談だよ。服は弥生に作ってもらった方が強くなるから。イメージで作った服には実際防御力が無いから。」




鎧として服を着るのと、鎧風の見た目なだけとは実際に大きな差が出る。




ヤ「はぁ、分かりました。今度やるときは私に見えない位置で作成をお願いしますね?」




弥生はため息をつくとクナイをしまったが、殺意はまだ漏れている。黒いオーラが見える・・。




レ「昨日の夜に作っておいた超固い塊だ。これの変化を頼む。」




俺はカバンから1㎤の塊を10個出した。MPは1分で1%くらい自動回復する。寝るまでの時間でMP30くらい込めた塊を作っておいた。




レ「これで小手や武器、鎧、靴などを作ってほしい。」




弥生に大まかな装備を作ってもらい、分身に当てながら調整してもらった。一応トランクスだけは俺の新品を先に履かせた。うん、ここでやらずにダンジョンに入る前にやっとけばよかった。俺は勇者っぽい見た目の分身にユウと名前を付け、弥生にステータスを見てもらった。




ユウ(分裂体):HP200、MP0、攻撃力50、防御力25、素早さ25、魔力0。装備はスラ剣攻撃力30、スラ鎧上下で防御20、スラ小手防御10、スラ靴防御10、スラ兜防御10、スラマント防御10、スラ鞘防御10だ。実際に攻撃が当たる場所じゃなくても防御力が加算されるってすごいよな。




レ「あれ?防御10くらいの指輪大量につけたほうが防御効果高くないか?」


メ「ずるはダメだよお兄ちゃん!ずるな事は女神パワーが許さないよ!RPGみたいに装備枠があるんだよ!」




メィルがどこから見ていたのか知らないが、相変わらず急に現れる。




レ「そういえば、ビジネスホテルには近寄らない方がいいぞ?本当に番犬ケルベロスがメィルを待ち構えているから。」


メ「ひっ、悪寒はそれが原因だね。昇神したら倒す!」




メィルは空中でシャドーボクシングしている。昇神までに噛まれないといいな?




メ「また何かあったら来るからね!ちゃんと見てるからね!」




メィルは空中でフンスッと鼻息荒く言ったあと、転移していった。


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