第11話 ダンジョン攻略2日目
アラームが鳴った。もう朝か。俺は窓のカーテンを開け朝日を浴びると、のびをした。そういえば、服や下着はどうしよう?1か月とは言え、ずっと着の身着のままじゃまずいよな?1着だから洗濯もできないし。ストレッチをしながら考えていると、コンコンとドアを叩く音がした。
ヤ「源さん、起きていますか?朝ごはん一緒に食べましょう!」
扉を開けると、弥生が居た。
レ「おはよう、弥生。」
ヤ「おはようございます!」
俺は、服のことを考えていたためか、じーっと弥生の全身を見てしまった。
ヤ「な、なんですか?!そんなに全身を嘗め回すように見て!」
レ「いや、悪いな。って嘗め回すようには見てないよ!?これから服をどうするかなって思って。」
俺はとりあえず弥生を部屋の中に入れて朝食を注文することにした。
レ「俺はとりあえず食パンと牛乳でいいや。弥生はどうする?」
ヤ「私はご飯にみそ汁、焼き鮭と生卵の和食がいいです!」
レ「旅館の朝食みたいだな・・。それじゃコールするか。」
フロントにコールすると、ケルベロちゃんが出たので、注文を伝えた。
ケ「お待たせしましたワン。冷蔵庫の減った中身や、消耗品等はお出かけの間に補充しますので、安心してくださいワン。」
相変わらず注文して1分もたたずに現れたケルベロちゃんは、昨日と変わっていなかった。
レ「ケルベロちゃんはずっとここにいるのか?」
ケ「そうですワン、利用される方がいついらっしゃるのか分からないので、24時間ここにいますワン。」
ラヴィ様と違ってケルベロちゃんは不眠不休か。地獄の門番のケルベロスも寝なくていいらしいし、名前が似ているから似たようなものか。俺は勝手に解釈すると、質問をした。
レ「ところで、服とか消耗品を買える場所ってないか?」
ケ「ありますワン。ホテルの売店に行けば、身の回りの大抵のものはありますワン。」
ケルベロちゃんは、他に聞きたいことはないか?と確認し、ないと言うとお辞儀をして転移していった。転移する女神相手だと扉の鍵が全く意味ないな。まあ、そもそも転移できなくても扉くらい簡単にぶち破るか。
ヤ「じゃあ、ご飯を食べ終わったら売店に行ってみましょう!」
売店に行くと、ケルベロちゃんが待っていた。
レ「さっきの話を聞いて準備してくれていたのか?」
ケ「いいえ、追跡スキルで売店に向かっているのが分かっていたので転移しましたワン。」
ヤ「追跡スキル、まだ切ってなかったんですね・・。」
俺達はうんざりした顔で売店を見回す。置いてあるのは、誰が買うのか分からないようなお土産類ばかりだった。
レ「大抵の物はあるっていう話だったが、お土産しか見当たらないが?」
ケ「欲しいもの言ってくださいワン。あたちがアイテムボックスから出しますワン。」
そういう事か。場所も取らないし劣化もしない、誰も居なくても盗られる心配も無いな。盗っても逃げきれないだろうけど。
レ「服が欲しいんだけど、どんなのがある?」
ケ「ただの服でしたら、これはどうですワン?」
ケルベロちゃんは空中からいくつかスーツを出してくれた。
レ「おー、俺が持っていたのと同じようなスーツだな。」
ケ「生前のあなたの部屋から取り寄せましたワン。」
レ「まじで俺のかよ!?そりゃ、取り寄せれるならなんでも揃うわ。」
サイズを測ったりする必要がない分だけ楽だと喜んでおくか。1か月なら十分だろうし。
ヤ「じゃあ、私のも取り寄せられますか?お気に入りの忍者服!」
ケ「これですかワン?」
ケルベロちゃんが取り出した服は正直、今着ているのとまったく差が分からん。
ヤ「これですこれ、やっぱり中の鎖帷子くさりかたびらは本物じゃないと!」
鎖帷子、RPGで言うとチェインメイルか。なんでそんな物を持っているんだ?忍者おたくだったとかか?
レ「ついでに下着類も取り寄せてもらえるか?」
ケ「お前の下着なんて触りたくないから、取り寄せずに同じサイズの新品を取り寄せてやるワン。」
何気にひどいことを言われた気がするが、使用済みより新品をくれるならそっちでいいや。
ヤ「あ、私もお願いします。ここに出されても困るので、102号室に届けておいて下さい!」
レ「じゃあ、俺のは101号室でお願い。」
ケ「かしこまりましたワン。商品分のMPを頂きますワン。」
お代はMPなのか。ケルベロちゃんは見た目何もしてないが終わったようだ。あんまり減ったような感じはしないな。
ヤ「ちょびっとだけしか減った気がしないんですが、それだけでいいんですか?」
ケ「アイテムの取り寄せくらいは、MPが10もあれば十分ですワン。大きなものだと50とかですワン。今のあなた方のMPでは無理ですが、もっといい装備を異世界から取り寄せることも可能ですワン。」
まあ、面倒くさくてやらないだけで、俺の分身を弥生に変化してもらえれば作るだけなら出来るしな。サイズ調整とか難しいし、一定のダメージ受けたら消えるから。体が無傷でも服だけ無くなるのも困る。
MPが増えたら、異世界のドラゴンアーマーとかミスリルプレートとか取り寄せて着る日が来るのだろうか?
時計を見ると、8時になっていた。ラヴィ様も出勤してきているだろうし、そろそろダンジョンに向かうか。俺達は部屋の鍵をケルベロちゃんに預け、昨日の道をダンジョンに向かって歩いて行った。ダンジョンの門のインターフォンを押す。
ラ「はい、こちらはじまるのダンジョンの受付を勤めていますラヴィです。お名前とご用件をお願いします。」
レ「おはようございます。源です。昨日に引き続き、ダンジョンの攻略に来ました。」
ラ「かしこまりました。今、扉をお開けしますね。」
昨日と同じようにスライドして開いた扉をくぐり、受付に向かった。
ラ「おはようございます。本日もがんばってくださいね?」
レ「ありがとうございます。昨日と同じ入口でいいですか?」
ラ「はい。あと、昨日、こういうアイテムを作ったのでよろしかったらどうぞ。」
ラヴィは空間から黒縁眼鏡を出した。
ラ「あったら便利だと思いまして、鑑定眼鏡です。」
眼鏡の効果は、アイテムやモンスターを見ると鑑定してくれるのだそうだ。入口にあるホワイトボードの眼鏡バージョンだな。これでこちらから連絡の取れないメィルにいちいち聞かなくても自分で調べれるようになるのか。
レ「ありがとうございます。えっと、お代はどうすれば?」
ラ「お代は・・と言いたいですが、特別ルールの事もありますし、今回は無料という事でよろしいですよ。」
レ「それは助かります。弥生が着けるか?」
ヤ「そうですね、後方から鑑定します!戦闘力たったの5か・・。とかやってみたいので!」
レ「いや、ステータスは見れても戦闘力は見れないと思うぞ・・。」
俺は一応つっこんでおいた。弥生は眼鏡に「変化!」をかけて色を赤く細いフレームに変えていた。さっそくステータスを見ているのか、「源さんのステータスは昨日と一緒です!」とか言ってる。コア使ってないんだから当然だろう。
レ「それじゃあ、行ってきます。」
ラ「いってらっしゃいませ。」
ラヴィ様はお辞儀をするとフロントの方に帰っていった。俺達は再びゴブリンの待つダンジョンの中へと入っていった。別にゴブリンに会いたいわけではないけどな。
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