ふたりだけのおまもり

「これ、渡しておくよ」

「お守りですか?」

 颯から受け取ったお守りにはの二文字が刺繍されていました。

「笑舞が落選するなんて思ってはいないけど」

「ワタシと颯は本当に気が合いますね」

 言葉の意味をすぐには理解できなかった様子の颯にワタシは颯に貰ったものと全く同じものを手渡しました。

「お守り……しかも、同じ神社の」

「お守りをいくつも持っていると神様同士でケンカして効果が薄れてしまうという逸話がありますが、同じ神社という事はケンカの心配はなさそうですね」

「むしろ効果が二倍になっているかもしれないな」

「そうだと良いですね」

 そんな会話を交わしたワタシたちはお互いに貰い受けたお守りを胸ポケットに仕舞いそれぞれの演説の場へと戻りました。



生徒会議事録

 選挙の前ってゲン担ぎしたか? 芹沢

 神社でお参りしたくらいかな。 美紗

 私は特には。 明日香

 毎日カツ食べた! 柚鈴

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る