さぁ、やってみよう!#9

 何故試験前にこの動画を送りつけてきたのか。そんな思いを胸に俺はいつもの動画を再生した。

『関川紗綾と』

『烏居爽香の』

『『さぁ、やってみよう!』』

 当たり前のようにさやちゃんも加わって始まったいつものバラエティー番組は、過去八回とは少々雰囲気が異なっていた。

『さやちゃん、今回の企画について私は何も聞いていないけど今回は何をするの?』

『今回は……【ゲーム実況をやってみよう!】ということで、紗綾先輩にはこれから明才高等学校ゲームプログラミング部が制作したMMORPG大規模多人数同時参加型ロールプレイングゲーム【SEED】をプレイしながら実況してもらおうと思います』

『それだけ? この緑色の背景は?』

『気にしないで下さい。このクロマキーは紗綾先輩が操作するゲーム画面と実際に操作するさやちゃんたちを合成するために用意しただけなので』

『私あんまりゲーム得意じゃないけど……今回も』

『『さぁ、やってみよう!』』

 いつもの合言葉というか、決め台詞というかを二人が告げると、報道部部員のナレーションで俺たち生徒会も体験プレイをさせてもらったMMORPG大規模多人数同時参加型ロールプレイングゲーム【SEED】の簡易的な説明が流れた。

『という事で、視聴者の皆さんには番組ナレーターによるゲームの説明がされたことと思うので早速紗綾先輩にプレイして頂きましょう』

 さやちゃんの番組回しが上手くなっていることと、今までの中で最もバラエティー番組としてしっかりとした作りになっていた事もあり、紗綾が【SEED】のチュートリアルをプレイするだけではあったものの番組の最後まで視聴が苦痛になる事は無かった。




爽香 「海パイセン!」

爽香 「#9観ました?」

海  「観たよ」

海  「過去一面白かった」

爽香 「そうだと思いました!」

爽香 「番組スタッフも手応えあったみたいです」

海  「毎回こうだと良いんだがな」

爽香 「近いうちに出る再編集版にご期待ください」

海  「出ないだろ。流石に」

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