しつじ

「良いねぇ。すごく良いよぉ。次はこっちに視線貰おうかぁ」

 明才祭まで残り三日となったこの日。俺は何故か当日に着る予定の無い執事服を着せられて、報道部の牧野麗まきのうららさんに言われるがまま被写体となっていた。

「芹沢くん、もっと……こぉポーズを」

「ポーズ……こうか?」

 いきなりポーズと言われても執事がどのような所作をするのか俺には全く知識が無かったのでとりあえず、眉間にしわを寄せて腕を組んでみた。

「ふぉぉぉぉ! 芹沢くん! アタシを滾らせるねぇ」

 麗は興奮気味にそう叫びながら俺の頭の先からつま先までをまんべんなく撮影した。

「あの~ 海先輩いらっしゃいます……かっ!?」

 俺に何か急ぎの用事があったのか、わざわざ教室までやって来た七海は俺のことを見るなり目を見開いて驚いてその場に倒れた。

「七海!?」

「にゃ、にゃにか……とても眼福なものが……がくっ」

「七海……七海ぃぃぃ!」

 倒れた七海を介抱しようとお姫様抱っこのようにして抱きかかえると七海は心地良さそうな表情で気を失ってしまった。



生徒会議事録

 大変お騒がせしました。 七海

 海の執事服を見たらそりゃあねぇ? 美沙

 ワタシはミササとアッスーのメイド服が見たいな! 柚鈴

 ご指名だぞ。 芹沢

 絶対に着ないから。 明日香

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