えまのひみつ
「フードファイトでもやっているのか?」
身体測定による男女時差登校の影響を受けてワタシたちよりもだいぶ遅れて生徒会室へやって来た会長は生徒会室の状況を見るなり呆れたようにそう告げました。
「仕方がないでしょう。昨日の朝からほとんど食べていないのだから」
「流石に明日香はやり過ぎだよ」
「そういうミササも昨日のお昼からお水だけでしょ?」
「ナナたちはわかりますけど、柚鈴先輩はいつも通りの食事でしたよね?」
「全くお前らと来たら」
生徒会室に備蓄してあるおやつを食べ尽くしかねない勢いで口へ運ぶ美沙先輩たちを横目に席に着いた会長は学生食堂からテイクアウトしてきたと思われる大盛り唐揚げ弁当を机の上に広げました。
「会長もでしたか」
「俺は朝しか抜いて来ていないからな」
「そうですか」
私はそう告げて席を立ちました。
「はぁ」
「おや、生徒会活動中に書記のあなたが理由なく生徒会室の外に居るとは珍しいですね。理由はこれですか?」
「うっ、龍鵞峯先輩……どこでそれを?」
ワタシの腹部を人差し指で突いてきた龍鵞峯先輩を睨みつけるようにして尋ねました。
「カマをかけただけだったのですが。そうですか。まぁ、そうでしょうね」
「原因はワタシも十分理解しています」
「ウチも鬼じゃありません。お姉さま以外にはリークしたりしませんよ」
「なっ!?」
「これは気休め程度ですが、もう少し食べた方が良いですよ。生徒会一軽いとはいえ、笑舞さんは軽すぎます」
本当に気休めにしかならない言葉を残した龍鵞峯先輩の背中が見えなくなった瞬間に随分と久しぶりに姉さまからワタシの秘密を握ったことを知らせるメッセージが送られてきました。
生徒会議事録
消費しすぎた備品はしっかりと補充しておいてくださいね! 小雨
備品というか、お菓子ですよね? 芹沢
経費では落とさないでね! 柚鈴
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます