ひっこし
「休みの日だっていうのにわざわざ来てくれてありがとう」
「生徒会だけじゃ人手が足りなくて!」
俺と柚鈴は生徒会室の引っ越しの手伝いに来てくれた俺のクラスメイトである山田拓、鈴本卓志、中木博と笑舞のクラスメイト倉敷颯に感謝を伝えた。
「困ったときは助け合いだろ」
「海にはオレの部活の引っ越しを手伝ってもらった恩があるから手伝わないわけにはいかないだろ」
「オレの部活って……。海が手伝ったのは女子バスケ部でボクたちは男子バスケ部だろ」
「オレも笑舞さんには色々とお世話になっているので役に立てることがあればいつでも言ってください」
「皆頼もしいね! それじゃあ、じゃんじゃん持って行こう!」
柚鈴の掛け声に俺たちは、
「オー」
と声を合わせて団結力を固めて、二人一組になって生徒会室の戸棚を校舎別館の新生徒会室へ運んだ。
「柚鈴先輩、それは俺が持ちますよ。柚鈴先輩はこっちの軽い方をお願いできますか?」
「良いの! それじゃあ、遠慮なく!」
作業を行っているメンバーの中で唯一の一年生であった颯は作業開始数十分くらいまでは俺たちの輪の中に入れずにいたが、作業をこなすうちに俺たちに溶け込んで生徒会活動中では珍しく紅一点となっていた柚鈴に重いものを持たせないように気を遣う姿が多々見られた。
「海君! 前の生徒会室から持って来る棚はこれで最後だよ!」
「お疲れ。その辺に置いておいてくれ」
「海よぉ、本当に廊下で良いのか?」
大きな戸棚以外は新生徒会室前の廊下に置いておくように指示を出した俺に卓志は不思議そうに尋ねてきた。
「配置に関しては明日香と美沙が決定権を持っているから今はこれで大丈夫だ」
「変な所に置いたらアッスー怒るからね!」
「生徒会でも尻に敷かれているのか」
「おい、生徒会以外では尻に敷かれているみたいな言い方するなよ」
そんなことを話していると颯の笑い声が聞こえて来て、俺たちの視線は颯が独占した。
「す、すみません。楽しそうだと思ったらつい笑ってしまって」
「颯っちの気持ちわかるよ。この学校男子が少ないからこんな風に男ばっかりで話す機会なんて無いからね」
「ワタシ女子だけど!」
「そうだ、颯はバスケ出来るか? 良かったら男子バスケ部に遊びに来いよ。人数少ないから試合は出来ないけどさ。ウチの最強エース柚鈴が相手するぜ」
「ワタシ女子だけど!」
「本当ですか! 是非!」
柚鈴の叫びは敢えて無視されながら颯は俺たちと仲を深めた。
柚鈴 「颯君からチョコ貰っちゃった!」
笑舞 「そういえば、明日はホワイトデーでしたね」
柚鈴 「お返ししなきゃね!」
柚鈴 「颯君と次はいつ会えるかな!」
笑舞 「近々会長のクラスメイトの方とバスケットボールを行う約束をしたと聞きました」
笑舞 「日程がわかり次第お伝えしましょうか?」
柚鈴 「よろしく!」
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