よせがき

「皆にお願いしたいことがある」

 会長は真剣な表情でワタシたちにそう言いました。

「海君、改まってどうしたの!」

「もうすぐ卒業式だろ?」

「もうすぐって言うか、あと五日だけど」

「そこで」

 会長は鞄の中から三枚の色紙を取り出して机の上に広げました。

「千景先輩、為奈先輩、風和先輩に寄せ書きを書いて送りたいと思う」

「い、良いと思います」

「姉さまにというのは恥ずかしいですが、ナナの言う通りワタシも良いと思います」

「ワタシも良いと思う! ミササもアッスーもやろうよ! ね!」

 柚鈴先輩にそう言われた美沙先輩と明日香先輩はお互いの顔を見つめ合うと、小さく頷きました。

「そうね、皆も先輩たちにはお世話になっているものね」

「皆で書こうか。美沙、色々な色のペン持っているから使って良いよ」

「ナナもペンいっぱい持っているので使ってください」

 美沙先輩とナナの持っているペンを借りたワタシたちは姉さまたち三年生の先輩方への寄せ書きを記しました。



生徒会擬似録

 この寄せ書きは卒業式終了後に千景先輩へ渡そうと思っている。 芹沢

 その時はお供するよ。副会長だから。 美沙

 ワタシも行くよ! 会計だから! 

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