おくりもの
「気が付けば、もう受験の時期になっていたのね」
「受験が終われば今度は卒業式の準備だね」
当たり前のように海の家に集まった美沙と明日香は家主不在のままコタツでみかんを頬張っていました。
「卒業式ね……。美沙は何か考えている?」
「考えているとは?」
「千景会長、為奈副会長、風和会計へのプレゼント……というか卒業祝い」
明日香は書記だった美沙と二人きりだからか、先輩たちを9月までの役職で呼びました。
「特に考えていなかったよ。卒業式が近いのだってさっきまで忘れていたくらいだし」
「私としては会長たちにはお世話になったから何か形に残るものをあげられたらと思っているのだけど」
「そうだね。何が良いかな? そうだ、次の生徒会で皆にも意見を……」
「二人で……。私と美沙の二人で送りたいの。会長たちと生徒会という時間を共有したのは私と美沙だけだから」
明日香は私の言葉を遮ると、美沙の目をじっと見つめ、ゆっくりと強い口調でそう言いました。
「駄目、かしら?」
「駄目じゃないよ。むしろグッドアイデア」
「それで、肝心のプレゼントについてなのだけど」
「明日香としては形に残るものが良いんだよね? 確か、今月の買い出し当番は美沙と明日香だったよね?」
「そういえば、そうだったわね」
「その時に探してみようよ。実際の物を見れば先輩たちが受け取った時の顔も浮かぶかもしれないし」
「それが良いわね」
美沙たちは真剣に話し合いながら、二個目のみかんに手を伸ばしました。
?? 「生徒会長さん、お元気ですか? みんなのさやちゃんです!」
海 「さやちゃんって、あのさやちゃんか?」
爽香 「はい、お察しのさやちゃんです」
爽香 「このコーナーにも満を持しての登場です。イエイ」
海 「何で俺の連絡先を知っているんだよ」
爽香 「嫌だなぁ、昨日教えてくれたじゃないですか」
爽香 「記録には残っていないですけど」
海 「あぁ、あのやり取りの後で交換していたな」
海 「していたか?」
爽香 「記録に残っていなくても記憶には残しておいてくださいよ」
爽香 「その方が後々便利ですから」
爽香 「フフフ」
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