ばらえてぃーか
「私たちの作った映画を見て頂けないでしょうか?」
報道部に所属する冴島緑先輩は生徒会室へやって来るなり深々と頭を下げてそう言いました。
「報道部が自主製作映画を?」
「少し前に龍鵞峯先輩からお話を聞きました。報道部が部内に新たに新設したバラエティー課と演劇部の共同映像作品のことですね」
「説明して頂き助かります。実は、完成した映像を一さん……一部長に観て頂きたかったのですが、一部長から『ウチでは身内贔屓した感想を告げてしまうから生徒会役員に確認してもらってはどう?』と告げられまして」
「それがここに来た理由という訳ね。龍鵞峯さんは私たちが暇だと思っているのかしら?」
「暇なのは事実だけどね!」
柚鈴先輩が恥ずかしげも無く告げた正論に返す言葉の無かった美沙先輩とワタシ、ナナの三人は苦笑しました。
「アッスー先輩、特に断る理由は無いので報道部からの依頼という形で引き受けてみませんか?」
「アッスー! ワタシは観てみたい!」
「うん、美沙も気になるから観てみたいな」
「ワタシも龍鵞峯先輩からこの話を聞いた時から機会があれば観てみたいと思っていました。もちろん、明日香先輩さえ良ければですが」
ワタシたちがそう告げると明日香先輩は大きな溜息を吐きました。
「全く。私に決定権を押し付けるなんてひどいことをしてくれるわね。以来として引き受けさせていただくわ。ただし、依頼として引き受けた以上は細かいところまで意見させていただくけれど構わないかしら?」
「はい! 是非ともお願いしたいです。これが、映像が収録されたディスクになります」
「確かに受け取ったわ。数日中に役員の意見をまとめて返却させてもらうわ」
「よろしくお願い致します!」
最初から最後まで緊張していた様子の冴島先輩を見送ったワタシたちは、早速受け取ったディスクをDVDプレイヤーに入れ、報道部バラエティー課と演劇部の共同映像作品を再生しました。
生徒会議事録
海へ 机の上に置いてあるディスク、帰ったら必ず観て。 明日香
報道部からの依頼です。箇条書きで構いませんので感想をお願い致します。 笑舞
美沙たちに内緒で大きな仕事をしているみたいだけどお願いね。 美沙
海先輩、困っていることがあればすぐにお手伝いに行きます。 七海
生徒会はワンチームだからいつでも頼ってね! 柚鈴
もう気付かれていたのか。心配させてすまない。ディスクは帰ったらすぐに確認させてもらう。 芹沢
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