おむらいす

「明日香、今日は手伝ってくれてありがとう」

「別に、これくらいどうってことないから」

 家庭の事情で生徒会の活動をお休みした美沙先輩と柚鈴先輩の代わりに生徒会の仕事を手伝いに来てくれた会長の幼馴染である春風明日香先輩は、会長に対し突き放すような言い方をしながらも会長に寄り添って仕事を行っていました。

「お礼に昼ごはん奢るよ。学食で良いか?」

「お礼をされるようなことはしていないから」

 明日香先輩はそう言いましたが、その足は学食へと向かっていました。

「笑舞と七海も一緒にどうだ?」

「ナナもご一緒させていただきます!」

「では、ワタシも」

 学食へと向かったワタシたちは各々今日のメニューを決めかねていました。

「この間も思ったが、こんなにメニューが多いと迷うな」

「ナナはオムライスにしようかな」

「海、私もオムライスにする」

「俺もオムライスにするかな」

「ワタシもオムライスに決めました」

「なんだ、皆オムライスにするのか」

 会長はそう言うと、当たり前のようにオムライスの食券を四枚購入しました。

「食券出してくるから、三人は席を確保してもらえるか?」

「会長、代金支払います」

「明日香の分だけ出すのは個人的に良い気分ではないから全員分奢るよ」

「えぇ~!? そんな悪いですよ」

「遠慮しないで。その代わり、美沙と柚鈴には秘密な」

 会長はさわやかな笑顔でそう告げると、食券を出しに行ってしまいました。

「後輩の前で格好つけたいだけだから格好つけさせてあげて」

「そうですね。今日は会長に格好をつけてもらうことにします」

「えぇ~!? で、でもたまには悪くないかもね」

 期せずして会長にオムライスを奢って貰えた私たちは四人掛けの席を確保して、会長が戻って来るのを待ちました。

「お待たせ」

 二つのトレイにそれぞれ二皿ずつのオムライスを乗せて戻って来た会長からワタシたちはそれぞれ一皿ずつ受け取りました。

「それじゃあ」

「いただきます」

 四人で声を合わせて食事を始める際の挨拶を行い、ワタシたちは薄く焼かれた玉子が小さく刻まれた鶏肉とタマネギが入ったケチャップライスを包む昔ながらのオムライスを堪能しました。



生徒会議事録

 空いた時間に明日香先輩が作業を手伝ってくれたのですが、一年間生徒会に所属していただけあって手際が良いと感じました。 笑舞

 ナナもお手伝いしてもらったけれど、あの手際の良さは尊敬しちゃうね。 七海

 明日香に伝えておくよ。きっと喜んでくれると思う。 芹沢

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