にちようだいくどうこうかい

 本日の生徒会は、今週から設置を始めた目安箱への投書を確認する作業でした。

「まぁ、最初だからこうなるだろうね」

 机の上に広げられたもとい、ぽつんと置かれた今回唯一の投書を見た美沙先輩は冷静にそう呟きました。

「ナナが読み上げますね。えっと『日曜大工同好会の者です。生徒会が設置した目安箱を拝見いたしました。目安箱は生徒会の皆さんが一から作ったとお聞きしました。もしよろしければ我々日曜大工同好会に目安箱をDIYさせていただけないでしょうか? ご検討のほどよろしくお願い致します』だそうです」

「これって、遠まわしに目安箱の造りが雑だと言われているのか?」

「雑かどうかは置いておくとして、普段から校内の棚や下駄箱を修理している日曜大工同好会の人たちから見て良い造りではないって事じゃない?」

「ナナは味があって良いと思いますよ」

 ナナは会長が落ち込んでしまわないようにそう言いましたが、言われてみれば生徒会が設置した全七個の目安箱はどれも採寸通りに切った木材を釘で止めただけの簡素な造りでした。

「投書が少ないのはそれが原因かもしれないよね!」

「柚鈴の真っ直ぐなところ、嫌いじゃないよ」

「ありがとう!」

 柚鈴先輩は会長の言葉を褒め言葉として受け取ったようでしたが、会長はその言葉が心にズサリと刺さったように落ち込んでいました。

「日曜大工同好会が折角こう言ってくれているのだからお願いしてみない?」

「会長には申し訳ないですが、ワタシも美沙先輩に賛成です」

「柚鈴と七海はどう思う?」

「ワタシはミササ派!」

「えっと、ナナは……エヘェ~」

 会長を気の毒に思ったのか、笑舞は答えを出さずに微笑むことで誤魔化しました。

「小雨先生の意見も聞いても良いですか?」

「日曜大工同好会にお願いしましょう。善は急げと言います。さぁ、皆さん一人一個、海さんは二個持って日曜大工同好会の部室へ向かいますよ!」

 顧問に就任してから当たり前のように生徒会の活動にひっそりと同席している小雨先生は食い気味に即答すると教員らしくワタシたちを率いて日曜大工同好会の部室へ向かいました。



生徒会議事録

 待っていましたと言わんばかりに引き受けてくれたな。 芹沢

 月曜の朝までには出来るなんて優秀だね。 美沙

 同好会なのが惜しいですね。 笑舞

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