雨があがって、その愛は

 三ヶ月ぶりに降った雨があがった時、私の愛もまた、さめていた。


 雲間から差し込む夕日を窓越しに眺めながら、私は目の前に座っている男性に対して何の情も抱いていなかった。先ほどまで確かに心の中を占めていたものが、今はない。


 理由は分からない。しいて言うなら、あの雨があがったから。そうとしか言えない。


 愛をなくした私は、不意に目の前の男性を無為に束縛しているような気持ちになってしまった。彼に申し訳ないことをしている。彼は自由になるべきだ。


「ねぇ、別れよっか」


 窓の向こうに視線を向けたまま、私は呟いた。


「そうするか。実を言うと、さっき雨があがってから俺も同じことを考えていたんだ」


 私が視線を移すと、彼はまっすぐに私を見ていた。


「君の事、愛してた。過去形でしか伝えられないのが残念だけど、これは本当だ」


「私も。あなたといて楽しかったよ」


 そんな風に、私たちの関係は終わった。雨が、終わらせた。

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