第752話 完璧主義
さて。五星天との戦いが始まったわけだが、彼らの支援とは別に、俺には最重要の任務がある。
この広場の地下に眠るファルトゥールを見つけることだ。
以前ここに来た時は、マクマホンが囚われていたが、今この時になって再びファルトゥールはこの地に戻ってきている。
守護隊の偵察による情報だから間違いないだろう。そして、五星天に力を渡したファルトゥールはすでに神性を失っているはず。倒すなら今しかない。
隙を見て、気付かれないように地下に潜入するんだ。
だが、気になることがある。
広場に建っていたファルトゥールの塔は、サラの大魔法によって倒壊した。本来ならその下に大きな空間があるはずだが、それらしき穴は見当たらない。
塔が壊れたことで地下空間も消えたのだろうか。女神的パワーによる異空間だったとすれば、ありえない話じゃない。
すこし迂闊だったかもしれないな。
問題は、ファルトゥールがどれくらい神性を残しているかだ。マーテリアのようにごく一部だけ譲渡しているとすれば、まだまだ油断はできない。
こればっかりは、直接会って確かめてみないとわからない。
「主様」
俺の周囲に、白いローブの集団が現れる。守護隊だ。
「レオンティーナか」
「名を憶えていて下さったのですね」
「忘れるもんかよ」
レオンティーナは感無量といった表情になったが、仲間達のジェラシーを感じ取ってすぐさま真面目モードに切り替わった。
「ファルトゥールの行方ですが」
「何かわかったか?」
「神性の残り香を辿ったところ、三か所まで絞り込めました」
「グッジョブすぎる」
守護隊は、かつてエレノア直属の神聖騎士だった。それゆえエンディオーネの加護を受けている。僅かながら神性を付与されているのだ。だから、女神の神性になじみがあり、感じ取ることできる。
一度は俺から離れてしまったが、結果的にアップデートされているのだから、巡り合わせってのは数奇なもんだと思う。
「三か所ってのは。どことどことどこ?」
「商業都市ドボール。エルフの森。コッホ城塞です」
「……俺が行ったことがあるところばかりだな」
「おそらく意図があるかと。主様の痕跡を追っているのかもしれません」
「なんで?」
「そこまではわかりません。これは推測ですが、主様はこの世界で唯一女神を倒しうる人間です。女神が主様の力の分析に躍起になっている可能性は十分にあり得るでしょう」
「たしかに。俺は最強だからな」
これは慢心ではなく事実だ。
「その三か所は大丈夫なのか。ファルトゥールが悪さをしたりは……」
「今のところ目立った変化はありません」
「よし。居場所を割り出すまでどれくらいかかりそうだ?」
「我らアルバレスの守護隊なら、半日頂ければ必ずや特定いたします」
「わかった。頼むぞ」
「御意」
守護隊達は、最初からいなかったかのように姿を消した。
今からの半日でネオ・コルトを壊滅させる。
それから、ファルトゥールを滅する。
完璧なプランだわ。
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