第733話 やる時はやる
「きも」
ソロモンがマジトーンで呟いた。
「は? きもくないし」
「きもいでしょ普通に」
辛辣すぎるだろ。
「ねぇねぇ。何か言ってあげなよ。こいつ浮気しまくるって宣言してんのよ」
ソロモンが言うが、オルタンシアはくすりと笑うのみ。
「種馬さまは種馬だから……そういうところが、素敵なんです」
「だめだこりゃ」
ソロモンとは違って、オルタンシアはよくわかっている。
「なぁソロモン。お前のために言うが、男を見る目を養わないと今後苦労するぞ」
「うっさい」
なんて生意気な奴なんだ。
「んじゃ、そういうことで~。即位式は世界会議が終わったらすぐやるよ~。準備しておくね~」
アルドリーゼは爆乳を揺らしながら立ち上がると、足早に出口へ向かう。
「あ、そうそう。キミさ~」
誰に言ってるのかと思ったが、どうやらソロモンのようだ。
「親は大切にしなきゃだめだよ~」
それだけ言い残して、アルドリーゼは部屋を出ていった。
「……わかってるっての」
なんなんだ、一体。
そんなことより。
「そうそう。ソロモン」
「なに?」
「これを返さないと」
俺は部屋の隅に立てかけていたサーベルを取ってくると、ソロモンに差し出す。
「サンキュな。なかなかいい剣だった」
「うん。まさか返ってくるとは思わなかったわ」
「なんで?」
「魔王と戦ったんでしょ? よく壊れなかったわね」
「たしかに。まぁ俺がすごいからだと思う」
「はいはい」
ソロモンは剣を受け取ると、ベルトを回して腰に帯びた。
「あたしは部屋に帰るけど、どうする?」
「あ、自分も行きます」
オルタンシアはアネベルを抱っこして立ち上がった。
「ここにいてもいいのに」
「でも、ここには……種馬さまのお客さんがたくさん来ると思いますから。アナベルも落ち着かないと、思います」
「言われてみれば」
「心配ないわ。あたしが一緒だから」
「何かあったら、会いにきます」
「そうか。わかった」
そうしてまた、俺はクソ広い部屋に一人になった。
しかし、こうしてゴロゴロするのは久しぶりかもしれない。
ここのところは、瘴気の呪いを解いたり、魔王と戦ったり、色々とせわしなくしていた。
こうやってのんびりできることの幸せを、今のうちにしっかり享受しておかないとなぁ。
つーか、よく考えたら。
セレンもアルドリーゼも、ハニートラップを仕掛けてきてねーか?
実際そうだよな。
世界から注目されたら、いろんな勢力が接触を図ってくるはずだ。そんな時に簡単にハニトラに引っかかるようじゃあかんよな。
そういう意味では、予行演習になってよかったかもしれない。
よし。
俺はもう、ハニートラップには引っかからないぞ。
人知れず決意していると、部屋にノックの音が響いた。
「今度は誰だよ」
うんざりしながら、俺は部屋の扉を開く。
アデライト先生が微笑みを浮かべていた。
「ロートスさん。お久しぶりです」
俺は部屋の外を窺う。
「先生、一人ですか?」
「はい」
俺は先生の手を掴み、部屋にぐっと連れ込んだ。
扉の鍵を閉め、先生を抱きかかえてベッドまで直行する。
「あの、ロートスさん? ちょっ――」
ベッドに押し倒しながら、俺は先生の唇を奪った。
そして。
「ん……」
その豊満な胸元に、手を滑り込ませた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます