第13話 王都ブランドンに到着だ
半月後。やっとの思いで王都ブランドンに到着した。
「やっと……つきましたね」
王都の巨大な門を見上げ、サラが感慨深く呟いた。
「ああ、長い道のりだったな」
半月の間、ただひたすらに歩く毎日。肉体強化系のスキルを持たない俺には過酷な旅だった。サラは獣人らしく余裕っぽかったけどな。
まぁ、多少体力はついた。それは確かだ。
「これからどうします? まずは宿をとりますか?」
「いや、それよりも魔法学園に行く。実を言うと、入学式は今日なんだ」
「ええっ! なんで仰ってくれなかったんですか! 知ってたらもっと急いだのに!」
「すまんな。俺もさっき知ったんだ。入学のしおりを確認したら今日だった」
「雑すぎますよこの『無職』!」
「やめろ」
別に罵るのは構わないが、こんなところで『無職』とか言ってると目立っちまう。
「いいからとっとと行くぞ。遅刻したらお前のせいな」
「ええっ! ひどい……」
とにかく、魔法学園へ向かうことにする。広大な王都の西側にあるようだ。
学園に到着すると、校門の前には人だかりができていた。ざっと数百人はいる。これ全部今年の新入生かよ。
「すごい人ですね」
「ああ。国中から優秀な人材が集まってるんだろうな」
本当、なんで俺がこんなところに入学しなくちゃならんのか。恨むぜ、両親。
そんなことを思っていると、巨大な校門が音を立てて開く。その先には、若い男性が立っていた。
「新入生とその従者の方は、どうぞお入りください。後ほど、クラス分けの試験がありますので、心づもりだけはしておいてくださいね」
クラス分けの試験だと? そんなの聞いてないぞ。でも入学のしおりに書いてあったような気がする。あんまり読んでないからわかんないな。
「まぁ、なるようになるか。いくぞ、サラ」
「はいっ!」
男性に案内され、数百人と共に学園の奥に進んでいく。
国内最高峰の学府だけあって、半端ない規模だ。レンガ造りの大小様々な建物が立ち並び、広大な校庭があり、学生寮も完備である。
あまり期待していなかったが、こんなところで魔法を学べるというのは、転生者としてはワクワクせずにはいられない。田舎には心惹かれなかったが、ファンタジー風の大都会はやっぱりいいものだな。
「それではこれより、新入生の確認を行います。順番に手続きを行ってください」
広い講堂に通された俺達は、いくつか設けられたカウンターに並ぶことになった。ここでは新入生の名前、年齢、スキルや職業などを登録するようだ。
そんなもん事前にやっとけよ。セキュリティガバガバじゃねぇか。
いや、でもスキルや魔法なんてのがある世界だから、案外そんなもんなのかもな。
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