第74話 白い花は雪のように。

 与那国島への出張は心と頭に沢山の収穫を齎してくれましたが体力の消耗もそれ以上あったようです。

回復が出来てきましたので描き始めますね。


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 秘密基地の部屋の視察はこれくらいにしないと目覚めの時間が来てしまう。

 次は皆んなの課題の進み具合を聞きに行こう。


 エインセルに頼み青い渦ぬ入ると中にちるなが居た。

 ちるなはずっと渦の中に居て一緒について来てくれていた。

 いつも彼女は僕の側に居てくれる。

 何だかその事だけでも嬉しくなる夢の中の日常だね。

 ダイナミックに夢の世界は僕を魅了する出来事に満ちているけどちるな一人の存在とその在り様が現実世界では得難い奇蹟に思える。

 だからこそ夢の世界のシャングリ・ラは現実世界の醜さで汚されていない桃源郷を創るんだ。

 もう一度国造りの創世を実現しなきゃならないと心の内から何かの強い思念も流れてくる。


 ちるなと青い渦の中で会話する。

 まるでグランブル〜。

 青い海の中のようで幻想的な異空間。


 少し僕らも話そう。

 課題の進みをちるなが一通り報告してくれた後に時間を取りたくなる。

「ね、ちるな、憶えているかな」

「ティグリス河の湖畔一面に咲いていた小さな白い花」

 まるで砂漠の中に雪が降った見たいだとちるなが喜んでいたのを想い出して聞いてみる。


 白い花は種に直に花が咲き、茎や葉が無いのでまるで雪が舞い降りたように見えた。


 ティグリス河とユーフラテス河を有するメソポタミア文明の地は世界でも特別な生態系を有する内陸性気候と砂漠気候の境に位置する山、草原、半砂漠の生態系が融合し多種多様な植物や動物が生息していた。

 この特殊な生態系は多くの「原種」や「唯一」のものを発生させ育んだ。


 ちるなはいつもの凛とした表情からは想像できない程に歯に噛んで少し俯うつむき加減に「はい」と答える。

 気のせいか少し頬が赤らんでいる気がする。


 メソポタミアは超科学の恩恵を受け様々な文化が咲き乱れる桃源郷だった。

 人は心身ともに整い気立て優しく。

 人は平和という言葉を初めて体感していた。


 悠久を流転しメソポタミア地で時を過ごす僕とちるなも平和な日々を過ごしていた。


 ちるなが久々見せた表情はグランブルーのスクリーンを背にしてまるでローマの休日のヒロインのあの初々しい表情のようだ。


 僕は心で想う。

 あの桃源郷をこのシャングリ・ラの地に再び実現すると。

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