第72話 秘密基地の各部屋。
エインセルの異空間ゲートを潜ると第三の部屋に出た。
熱気が〈むーん〉とする。
周り中に様々な植物が群生している。
まるで植物園。
エプロン姿の女性たちがジョウロを片手に鼻歌まじりで植物の世話をしている。
「あのこの部屋は何の部屋ですか」
女性たちは振り返り和かにここはシャングリ・ラの為の食物を研究生産しそこに住う方々の育成を司る【食育の間】です。
「食はみんなのたのしみ!生きる希望!」
「食を満たせば心も豊か」
「自然と鼻歌、ルンルンルン」
なんだかすごく明るく賑やかな雰囲気。
はい!私達は豊穣の女神同盟ですです。
私はウッチー、保食の女神、私オケリン、気力充実漲る力〜、私イナッチ、豊作豊作〜、
私トヨちゃん、内も外も満ちたるエネルギー、私タマちゃん、霊性も漲るよ〜。
シャングリ・ラの皆んなの食育は任せてね。
食育はよく分からないから全面的にお世話になろう。
次は第四の部屋。
エインセルの異空間の青渦を抜けるとそこには熱気が充満していた。
鉢巻きに褌姿の仕事で身に付いた筋肉身体の職人が大勢作業をしていた。
ここは匠の部屋か。
そうこうしていると一際大きな身体の親方のような人物が近づいて来た。
名を運慶と名乗る。
【匠の間】の棟梁だ。
ここで生み出されるのはシャングリ・ラの建物となる。
今製作しているのは古墳群エリアの入り口に設置する巨大な門。
シャングリ・ラの聖域部分の入り口のゲートとなる。
永年繁栄の祈念が込めた結界の入り口製作に心血注いでいる。
ここも棟梁に任せる。
次行こう。
エインセルに異空間の青渦を出して貰う。
第五の部屋に入る。
ここも熱気が押し寄せる。
いや灼熱の熱風だ。
灼熱にヒートした高炉がある。
鋼材の精製を行なっている。
そうか建築資材などの基礎材料を製造しているのか。
高炉の向こうから大きな金槌を6っ本手にした蜘蛛人間が現れる。
その瞳は溶接用の遮光メガネで覗く事は出来ない。
頭の上から降る様な甲高い声が響く。
「ようこそ!我が工房に!ありとあらゆる素材の利点を引き出した基礎材料を作りましょうぞ」
「尊きお方よ、我に天職の場を与えて頂き感謝しまする」
「【基礎材料の間】の技師長 多々羅伴内感謝に耐えませぬ」
ここも大丈夫!
次は第六の部屋。
エインセルの青い渦から出るとガラス壁に仕切られた隔離病棟の様な部屋に出る。
宇宙飛行士の船外作業スーツを着た人が近づいて来る。
隔離病棟内へと通じる気密部屋に一旦入ってこちらに向かって来る。
宇宙飛行士のヘルメットを脱ぐと長い黒髪がサラリと垂れる。
色白で細面の典型的日本人美人の顔が現れる。
「私、柴咲早苗という化学女子です」
「化学に没頭する事が1番の楽しみです、研究テーマどしどし受付中〜」
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