第71話 第二の部屋。

 エインセルの異空間の青い渦から第二の部屋に入る。

 ここは会社のフロアだ。

 拍子抜けするほどの日常が目の前に展開していた。

 数百名は入れる大企業レベル巨大なフロアに左右5席の島席が4つ縦に並ぶ。

 この列が40列整然と並んでいる。

 フロアの真ん中前列から誰かがこちらに歩いて来る。

【や〜ようこそ【企業の間】にお越し頂きました!】

【私、このフロアの統括事業部長を仰せつかっております中村忠造と申します】

【社長、あいや尊きお方様は私目に理想社会の企業を全面的に行う事を命じられました、粉骨砕身会社の為に頑張る所存であります】

 名刺までくれた…。


 第二の部屋は【企業の間】だった。

 もう一人の僕は都市の社会基盤を作ろうとしているようだ。

 成る程ね、企業ならば物理的なインフラや必要とされる設備や品の製造やその社会が活性するサービスインフラ等何でも企てて発展させられる。

 考えてるじゃないか!

 自分の街を作ろうとしているんだね。

 楽しみな部屋だね。

 仕える事の道しか現実世界では選択出来なかっかたけど自分が仕えて貰う側になるんだね。

 ワクワクしてくる。


【社長!お時間ありますか】

 早速、中村部長からの申し入れが始まった。

 先ずどの様な進め方で【企業の間】を運営するかのPlanのの説明が始まる。

 Planは5つも用意されていた。

 ほぼ似ているが社長の意を汲み取ろうと微細な部分でお伺いをしてパターンが分かれている感じだ。

 サラリーマンだね、気遣い忖度が盛り沢山。


 この【企業の間】が現代の社会組織と大きく違う点がある。

 企業は利益を追求するにも関わらず社会貢献風の装いを纏うが、僕の世界での企業は僕が満足する事、理想とする事を絶対目標とする絶対服従が前提となって成り立っている。

 利益の追求も優先順位を一番下にしても良いかも知れない。

 だから公平性や既得権益の偏り等々の面倒臭い公共性というものを保つ公共機関が無くても良い事になる。

 要は僕が公共性や偏りをバランシングする指示をすれば良く、絶対服従に幸せを見出す子飼いの仲間が秘密基地で産まれ出る訳なので不当な事や信用出来ない私服を肥やす輩も存在しない。


 Planの話に戻ると事業企画を発案する部署。

 それを実行出来る形にする部署。

 実行する部署。

 維持管理する部署。

 効果を測定する部署。

 技術的課題を解決する研究所。

 人財を教育する部署。


 その各署の要員を集めないといけない。


 これは【創成の間】にお願いしよう。

 という事は【創成の間】の対応能力を既に向上させる必要が見えて来た。


 後でドクターヘルシングに相談しよう。


 要件を聞いたので第三の間に移動しようかな。

 会社に勤めててよかった(笑)

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