第80話 尊き御方は現代人。

「尊きお方の到着です!」


 ちるなが凛とした声音で周知する。


 オブザーバー席のちるな、ドルイドマスター 森羅万象、地獄の執政官 夢魔公爵ギヒノム卿、自分自身怪異エインセルが立ち上がる。

 風魔小太郎は何時の間にか僕の背後に立っている。


「小太郎ちゃん過剰防衛はいけないからね」

 僕は一言背後の護り手に声を掛ける。

 ついこの前も街一つ壊滅させた前科があるからね悪気は無いのはよーく分かっているけど。

 ちるながすーっと歩み寄ってくる。

 森羅万象が硬質な植物蔦で僕の両サイドに柵を巡らせる。

 ちるなが目の前に現れると、エミリアも横から〈ニュッ〉顔を出す。

「ねね、これ化学反応だよね!三人が揃ってその相乗で起きてるんだよね、妖怪の進化」

「興味深いわ〜ワクワクする」


 油すましはケミカルマジシャン。特筆すべきは油だけでなくあらゆる液体を操る点。

 赤蜂はミクロイドコマンド。昆虫の大きさはそのままに攻撃力、スピード、集中力が格段に向上。

 影女はシャドウーウーマン。影から影に移り襲ってくるアサシン。

 傘化けはアンブレラジャギー。傘が人食い傘に変貌。

 人面瘡(疽)はマルハン。単なる瘡に怨みが込められた。

 土蜘蛛一族は土御門。陰陽師の素養を身に付けたエリート呪術師。

 尻の目はアンダーアイ。後ろに眼。

 百目はパーフェクトアイ。死角なき千里眼。

 無眼はサイレントアイ。悟られない千里眼。

 トイレの花子さんはサイエンスフラワー。科学文明全般に精通したリーダ。

 菅原道真公はスーパー京。スーパコンピュータ並みの高い計算能力。

 三つ目小僧はタイムシェアコマンド。作業プロセスを多重処理する。

 三つ目入道はタイムシェアコマンダー。タイムシェアコマンドを司る。

 三目八面はタイムシェアジェネラル。タイムシェアコマンダーを司る。

 座敷わらしはゴールデンボーイ。幸運の運び手。

 金色姫はゴールデンガール。幸運の運び手。

 五位の光はファイブフラッシュ。幸運の光。

 鈴彦姫はチャイミングクイーン。幸運の煤音色。


「進化はそれなりに超常的な能力が備わってるけど…。」


「ネーミングがダサく無い?」


 〈ウッ〉空気がギクリとする。


 あたしの思念がそのままに反映されるようで妖怪の素養のイメージが伝わってくるとその進化の方向であたしの閃きインスピレーションが名前ダイレクトに命名される。

 仕方ないじゃ無いか閃きレベルなんだから、折角だからもちょい考えてあげたいけど多分あんま変わらない気もする。

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