第78話 進化のミラクルジャンプ。

 妖怪は元は人、神、事物、思念と様々な素養から成り立つ様ですが妖怪後の進化覚醒は余程の事が起きない限り訪れません。余程のことがない限りは。


〜○〜

 

 一体何が起きている。

 次々に妖怪達が進化して行く。


 マジックアワーが黄昏色の霧を〈ふーっ〉と小さな口から吹く。

 霧は空中にくるくると対流してやがて3本の流れを組む。

 手を伸ばす様にその流れは目標を定めて流れ行く。

 一つはゆうやの方向。

 もう一つは大楠木の田心姫神の方向。

 そして最後の一本は黒い影に向かう。


 3本の霧の流れはゆうや、大楠木、黒い影まで到達すると真上に昇り始め空中宴会場の天井の辺りで3方向の真ん中に集まり紫紺の渦となりその渦の中から紫色の光線が妖怪たちに降り注いでいる。


「これがこの部屋で渦まく不思議な気流の流れる模様よ」とマジックアワーが解説する。

 この不思議な紫の光線を浴び続けている妖怪が進化を始めている。


「なるほどね〜」と〈クルクル〉日傘を回転させながらエミリアが嬉しそうに足を〈トントン〉させる。

 推測だけど、ゆうや様の具現化と膨大なエーテル、田心姫神の進化の発芽、黒い影の何らかの力が合わさって妖怪たちの進化が起きているようね。

 妖怪は長寿だけど隠遁して生きるのが常で進化する切っ掛けとなるインパクトを受ける事少ないのよね〜。

 進化の条件は神の手レベルの介在が必要でこの介在を偶然の産物で得るには途方も無い時間が必要。

 進化を爆発的に齎す何て神の手を何本も意図的に操る事が目の前で行われている、

 進化のミラクルジャンプ…。

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